今回のテーマ:高配当株の安全性を判断するためのチェックポイント

高配当株投資をするのに良い銘柄って、どうやって見定めればいいの?
株価が下がったり、減配すると嫌なんだけど。
こんな疑問に答えていきます。
基本は配当利回りが高い株に投資すればいいのですが、株価の暴落や減配は心配ですよね。
今回は、高配当株が安心して投資できる対象か見定めるためのチェックポイントを紹介します。
この記事で説明すること
- 配当利回りのスイートスポット
- 配当の継続性を確認するためのチェックポイント
高配当株に投資をする際に、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
この記事の目次
高配当株の安全性を判断するためのチェックポイント

高配当株に投資する前に、チェックしておきたいポイントを説明します。
配当利回りのスイートスポットは3%〜6%

配当利回りは、高ければ良いというものでもありません。
高配当株に投資をする理由は、配当によるインカムゲインが欲しいからですよね。
高配当株というからには、配当利回りは3%程度以上は欲しいところだと思います。
一方で、配当利回りは高ければ良いというものでもありません。
配当利回りが6%を超えていると、減配リスクがあります。
要するに、高配当株の配当利回りのスイートスポットは3%〜6%程度ということになります。
まずは、配当利回りが適切な範囲にあるかを確認するのがおすすめです。
なお、配当利回りの確認方法については、以下の記事で説明しています。
配当の継続性を確認する4つの指標をチェック

配当の継続性を4つの指標でチェックしましょう。
さて、配当利回りが高いからといって、それが一時的では意味がありません。
配当利回りが4%だと思って買ったら、次の年から配当が半分になったというのでは意味がありませんよね。
いまの配当金が継続して支払われる可能性が高いかを確認するための、4つのチェックポイントを紹介します。
- 連続増配年数
- 配当性向
- 営業キャッシュフロー率
- 設備投資額
それぞれ個別に説明していきます。
(1)連続増配年数
まずは、連続増配年数をチェックしましょう。
連続で増配しつづけてきた実績があるということは、以下を示しています。
- その会社が安定して増配できる事業を営んでいること
- 株主に積極的に還元する姿勢がその会社にあること
特に、2008年のリーマンショック時にも減配しなかった会社は、今後も連続増配を期待できる可能性が高いと考えられます。
連続増配は「dividend.com」で簡単に調べられます。
dividend.comのページを開いたら、好きな銘柄名で検索して、個別銘柄のページを開いてください。
以下は、例えばコカ・コーラのページです。

この個別銘柄ページの「Stock Dividend Data」という一番上の項目の中で、「DIVIDEND GROWTH」と書かれている部分があります。これが連続増配年数です。
コカ・コーラであれば「57 YRS」と書かれているので、57年連続で増配しているということです。
とはいえ、連続増配の実績だけに頼るのも心もとありません。
そこで、残りの3つの指標も確認しましょう。
(2)配当性向
配当性向は、その企業が毎年稼ぐ利益(あるいはフリーキャッシュフロー)のうち、どれだけの割合を配当に回しているかという数値です。
配当性向の計算式
配当性向 = 配当 ÷ 純利益(or フリーキャッシュフロー)
※ 本ブログでは、配当 ÷ フリーキャッシュフローを用いています
配当性向が100%を超えた状態が続いているなら、その企業は稼いでいる利益以上に配当を払っているということなので、その配当には継続性がないと言えるでしょう。
感覚的には、業績が安定している大企業の場合、50%〜80%程度の配当性向であれば安心できます。
主要銘柄の配当性向については、以下から各銘柄のページに飛んでいただければチェックできます。
(3)営業キャッシュフロー率
配当性向が高くても、フリーキャッシュフローが安定していなければ意味がありません。
フリーキャッシュフローが簡単に半分になってしまうような会社では、配当性向が50%でも安心できませんよね。
フリーキャッシュフローの大前提となるのは、営業キャッシュフローです。
営業キャッシュフローとは、その企業の通常の営業活動によって得られたお金を示しています。
ここから来年以降の営業に必要な設備投資額などを引いたものがフリーキャッシュフローになります。
この営業キャッシュフローの売上に対する割合が営業キャッシュフロー率です。営業キャッシュフローマージンとも言います。
営業キャッシュフロー率の計算式
営業キャッシュフロー率 = 営業キャッシュフロー ÷ 売上
営業キャッシュフロー率が高い会社は、多少売上が減っても、営業キャッシュフローはあまり減りません。
一方で、営業キャッシュフロー率が低い会社は、少し売上が減っただけで、営業キャッシュフローが大きく落ち込みます。
営業キャッシュフロー率が少なくとも15%以上、欲をいえば安定して20%程度以上あると安心です。
例えば、以下はジョンソン・エンド・ジョンソンの営業キャッシュフローの推移です。
営業キャッシュフロー率は20%以上で、安定して推移しています。

主要銘柄の営業キャッシュフロー率についても、以下のページから探せます。
(4)設備投資額の少なさ
最後に、設備投資が少ない会社かどうかも重要です。
営業キャッシュフローに対して、設備投資が少ない会社であれば、多少営業キャッシュフローが減っても、配当に回すフリーキャッシュフローを確保できます。
例えば、以下はフィリップ・モリスの営業キャッシュフロー・設備投資・フリーキャッシュフローの推移です。
タバコ業界は、設備投資が少ないので、しっかりとフリーキャッシュフローが稼げています。

主要銘柄の設備投資額についても、以下のページから探せます。
まとめ
配当の継続性を確認するには、以下の4つのポイントをチェックするのがおすすめです。
配当の継続性の確認ポイント
- 連続増配年数:リーマンショック以前から連続増配しているか
- 配当性向:配当性向が100%を超えていないか
- 営業キャッシュフロー率:営業キャッシュフロー率は15%以上あるか
- 設備投資額:設備投資額が大きすぎないか
条件を満たす高配当株の見つけ方
配当貴族のリストから探そう

配当貴族は25年以上連続で増配している銘柄のことです。
配当貴族とは、25年以上連続で増配している銘柄を指しています。
25年以上連続で増配しているような銘柄は、やはり営業キャッシュフロー率なども高いことが多いです。つまり、他の条件も満たしている可能性が高いです。
そのため、配当貴族のリストをベースに探していくと、条件にあう銘柄を見つけやすいと思います。
なお、配当貴族のうち、ある程度の時価総額(企業規模)のリストは、こちらで確認できます。
営業キャッシュフロー等はSeeking Alphaでチェック

Seeking Alphaは業績チェックに便利です
Seeking Alphaは業績チェックに便利
配当性向や営業キャッシュフロー率、設備投資額の推移をチェックするには「Seeking Alpha」が便利です。
有料ユーザーなら過去10年、無料ユーザーでも過去5年の業績推移を確認することができます。

Seeking Alphaを用いた業績の確認方法
まずは、Seeking Alphaのトップページから、銘柄名を検索して、個別銘柄ページに飛んでください。
個別銘柄ページに飛んだら、「Summary」、「Ratings」、「Key Data」などのメニューが並んでいる中から、「Key Data」をクリックします。
そうすると、上の画像のように過去10年(無料ユーザーなら5年)の業績が表示されます。
損益計算書(PL)は「Income Statement」、貸借対照表(BS)は「Balance Sheet」、キャッシュフロー計算書は「Cash Flow」にあります。「Period Type」は「Annual」(年間)にしましょう。
配当の継続性を確認する4つのチェックポイントのチェックに必要な項目は、以下の場所にあります。
4つのチェックポイントに必要な項目
- 売上:「Income Statement」の中にある「Total Revenue」です
- 営業キャッシュフロー:「Cash Flow」の中にある「Cash from Operations」です
- 設備投資:「Cash Flow」の中にある「Capital Expenditure」です
- フリーキャッシュフロー合計:「Cash Flow」の中にある「Levered Free Cash Flow」です
- 配当合計:「Cash Flow」の中にある「Common & Preferred Stock Dividends Paid」です
主要銘柄については、それらの数値を整理して、以下でまとめていますので、参考にしてください。
まとめ

今回は、以下の内容を説明しました
今回の記事で説明したこと
- 配当利回りのスイートスポットは3%〜6%程度
- 連続増配年数、配当性向、営業キャッシュフロー率、設備投資額もチェック
- 実際に投資する銘柄を探すときは、配当貴族のリストから探すのがおすすめ
- それぞれのチェックには「dividend.com」と「Seeking Alpha」が便利
それでは、今回は以上になります。
高配当株投資については、以下の記事でまとめているので、もしよければご覧ください。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。