どうも、キャプテンです。
今回は、PayPal(ペイパル)の株価について、割高・割安を考えます。
ペイパルの基本情報は、以下の記事にまとめてあるので、そちらを読んでくださいね。
それでは、さっそくバリュエーションしていきましょう。
PayPal(ペイパル)の株価は割安?
直近の経営状況の振り返り
まずは、簡単に直近の経営状況を振り返っておきましょう。
(1)積極的なM&Aで順調に成長
ペイパルは、2012年にebayからスピンアウトされました。
その後は、積極的なM&Aによって順調に成長しています。
ペイパルが買収する企業は主に3種類です。
- 多くのユーザーを抱えている決済・送金サービス(支払う側)
- 多くの加盟店を抱えている決済サービス(支払いを受ける側)
- 決済に付加価値をつけうるサービス
1つめはアメリカのミレニアルズに人気の送金アプリ「Venmo」のようなもの、2つめは「Braintree」や「iZettle」のようなものです。
これらを買収することで「支払う側」と「支払いを受ける側」をペイパルの決済ネットワークに繋ぎ込んで、ネットワークを大きくしていくというのが、ペイパルの基本戦術です。
さらに3つめは、2019年に買収したクーポン&リワードサイトの「Honey」があげられます。これはPayPalやVenmoといった送金・決済アプリに付加価値をつけて、アリペイのような総合的なウォレットサービスに進化させていこうという取り組みです。
こうした積極的なM&Aによる成長戦略は、2桁成長を続ける売上をみると、上手くいっていると言えるでしょう。

(2)中国進出に挑戦中
これらの買収と並んで、ペイパルの成長余地として大きいのが中国です。
中国国内の決済は、アリペイやWeChatペイメントがいるので参入は難しいと思いますが、ペイパルは中国のクロスボーダー取引市場を取りに行くことを狙っています。
例えば、以下のようなケースです。
- 海外の人が中国のウェブサイトでショッピングをするとき
- 中国の人が海外のウェブサイトでショッピングをするとき
- 海外の人が中国に観光にきたとき
- 中国の人が海外に観光にいったとき
2019年には、中国の決済業でGoPayというサービスを提供しているGuofubao Information Technologies社の株式を70%取得しました。これは、GoPayサービス自体が欲しいというよりは、この会社が持っている決済事業を営むライセンスを目的とした買収となっています。
また、発行枚数が75億枚を超える「銀聯カード」を提供する中国のカードブランド、Union Payとの連携も進めています。
(3)経営状況のまとめ
以下、ペイパルの直近の経営状況を再度整理します。
- 積極的なM&Aによる成長戦略を実行中
- 中国ではクロスボーダー取引市場を狙っている
- 売上は順調に2桁成長している
PayPal(ペイパル)のバリュエーション
さて、続いてペイパルのバリュエーションを見ていきましょう。
(1)バリュエーションの基礎
まずは、バリュエーションの基本を振り返っておきましょう。
DCF法に基づく計算式
事業価値 = フリーキャッシュフロー / (割引率 − フリーキャッシュフロー成長率)
この事業価値が、現在の売値(時価総額 + 純負債)よりも高ければ割安、低ければ割高だと判断できます。
(2)ペイパルの売値
現在、ペイパルの時価総額は$144.26B、純負債は5.29Bです。
合計すると、ペイパルは$149.55Bで売られていることになります。
(3)ペイパルのフリーキャッシュフロー
ペイパルの直近のフリーキャッシュフローを確認します。
ざっくりとしたフリーキャッシュフローは、2019年時点で$3.86Bです。

(4)フリーキャッシュフローの成長率と事業価値
それでは、ペイパルの事業価値を計算してみましょう。
フリーキャッシュフローの成長率に応じた事業価値を表にすると、以下のようになります。
割引率 | 成長率(5年) | 成長率(その後) | 事業価値 | 売値との差額 |
10% | 20% | 4% | $122.99B | -$26.56B |
10% | 22% | 4% | $132.44B | -$17.11B |
10% | 24% | 4% | $142.51B | -$7.04B |
10% | 26% | 4% | $153.23B | $3.68B |
10% | 28% | 4% | $164.61B | $15.06B |
長期的に成長率が4%程度に収束することを前提とした場合、今後5年のフリーキャッシュフロー成長率が26%程度以上であれば、現在の売値はフェアバリューだということになります。
今後の成長率が26%程度よりも低い場合、現在の株価は割高です。
今後の成長率が26%程度よりも高い場合、現在の株価は割安です。
この26%程度というフリーキャッシュフロー成長率は現実的なのでしょうか?
ペイパルの過去10年のフリーキャッシュフロー成長率を見てみると、平均30%程度です。
一方、フリーキャッシュフローではなくEPSになってしまいますが、アナリスト予想では2025年までのEPS成長率の平均は20%弱となっています。

EPS成長率のアナリスト予想から考えたときには、ペイパルが今後5年間に26%の成長を継続するのは難しいと思います。
よって、現在のペイパルの株価は割高だと思います。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。