ロボアドバイザーは資産運用の初心者におすすめか知りたい方へ。
「自動で資産運用をしてくれるロボアドバイザーというサービスがあるのを知ったけれど、資産運用初心者の自分はこのサービスを使うべきなのだろうか?」と悩んでいませんか?
結論から言うと、資産運用の超初心者であればロボアドバイザーで資産運用を始めてみてもよいのですが、長期的な資産運用にロボアドバイザーを用いるのはおすすめしません。
この記事では、ロボアドバイザーをおすすめしない理由を説明したうえで、初心者におすすめの資産運用の方法(投資信託を用いたインデックス投資)を紹介します。
なお、2019年現在、筆者自身も資産運用歴は5年になりますが、この記事で書かれている内容については資産運用にある程度詳しい方なら、だいたい同意する内容だと思うので、信ぴょう性があるかと思います。
それでは、おすすめしない理由について、説明していきます。
この記事の目次
資産運用初心者にロボアドバイザーをおすすめしない3つの理由

「ロボットが代わりに運用してくれる」と聞くと、初心者向けの資産運用方法のようにも思えますが、ロボアドバイザーをおすすめしない理由は以下の通りです。
ロボアドバイザーは投資信託を買っているだけだから
「ロボアドバイザー」というと、ロボットが毎日自動的に高度な資産運用をしてくれそうな響きをしていますが、実際のところはそうではありません。
もしも、ロボアドバイザーが投資家の代わりに、実際に個別企業の株式や債券などを売買しようとすると、そのデータ集めから計算まで、ものすごい労力が発生してしまうので、そんなことは出来ないのです。
では、ロボアドバイザーが何をしているかというと、投資家から預かったお金をさらに「投資信託」というサービスに預けて資産運用しています。投資信託というのは、多くの投資家から集めたお金を運用してくれるサービスです。
つまり、実際に資産を運用してくれているのは、ロボアドバイザーではなく投資信託なのです。
たとえば、日本で一番伸びているロボアドバイザーである「WealthNavi」の資料をみてみると、以下の投資信託(ETF)を購入していることが分かります。
Wealthnaviが購入している投資信託(ETF)
米国株であれば > VTI 経費率0.04%
日欧株であれば > VEA 経費率0.07%
新興国株であれば > VWO 経費率0.14%
米国債券であれば > AGG 経費率0.05%
物価連動債であれば > TIP 経費率0.20%
金であれば > GLD 経費率0.40%
不動産であれば > IYR 経費率0.43%
※投資信託の中でも、取引所に上場されているものをETFといいます。
※アルファベット3文字が、各投資信託のティッカーシンボル(略称)です。
Wealthnaviというロボアドバイザーは、実際にはこの7種類(VTI、VEA、VWO、AGG、TIP、GLD、IYR)の投資信託にお金を振り分けて運用してもらっているということです。
このようにロボアドバイザーはいくつかの投資信託にお金を預けて運用してもらい、投資家と投資信託の間で手数料を抜くというビジネスモデルになっていますが、別にロボアドバイザーを経由しなくても投資信託は直接購入することができます。
ロボアドバイザーの手数料は高いから
ロボアドバイザーの裏側は、投資信託を購入しているだけですが、そのわりに利用手数料は高めに設定されています。
たとえば、先ほどのWealthnaviの例でいうと、運用している資産に対して年間で1%の手数料を取っています。Wealthnaviで100万円を運用すると、投資家はWealthnaviに対して年間で1万円の手数料を支払うということです。
一方で、Wealthnaviがそれぞれの投資信託に運用手数料として支払っているのは、先ほどの一覧の「経費率」という部分に書かれている数値です。たとえば、VTIという投資信託であれば経費率は年間0.04%ですから、運用資産が100万円であれば400円です。Wealthnaviはその間で0.96%(運用資産が100万円であれば9600円)を抜いていることになります。
直接VTIに投資すれば0.04%の手数料で済むのに、ロボアドバイザーを使うことで、手数料が25倍にも膨れ上がってしまっているのです。
今回は、一応日本で一番有名なWealthnaviというロボアドバイザーを例にあげて説明していますが、Wealthnaviだけではなく、ロボアドバイザーというサービスがそもそもこのようなビジネスモデルになっています。
複雑なポートフォリオを組む必要はないから
「そうはいっても、WealthnaviはVTIだけに投資をするわけではなく、利用者のプロフィールに従って、上の7種類の投資信託にいくらずつお金を預けるかを決めてくれるんでしょ?」と思われた方へ。
それは確かにその通りです。
ロボアドバイザーは、年齢や資産、リスク許容度といったユーザーのプロフィールに従って、どの投資信託にどれだけのお金を振り分けるかを決めてくれます。
このように、どの資産クラスでどれだけのお金を運用するかを決めることを「ポートフォリオを組む」といいます。ロボアドバイザーは、主に「ブラック・リッターマンモデル」と言われるモデル式に従って、ユーザーの代わりに計算をして最適なポートフォリオを組んでくれているわけです。
しかし、実は資産運用において、そのような複雑なポートフォリオを組む必要はありません。
たとえば、世界3位の大富豪であり、長期に渡って素晴らしい投資成績を残してきたウォーレン・バフェットという投資家がいます。バフェットは、世界中の投資家から非常に尊敬されており、「投資の神様」、「オマハの賢人」(オクラホマ州のオマハという街に住んでいることから)と呼ばれています。
そんなバフェットは、バークシャー・ハサウェイという巨大な投資会社を経営しており、毎年その株主に向けた手紙を公開することで知られていますが、2013年の「株主への手紙」において、一般的な個人投資家が行うべき投資手法を紹介しています。
私から投資家へのアドバイスは究極にシンプルです。「10%の現金で米国短期債を買い、残る90%の現金でS&P500に連動する非常に低コストの投資信託(インデックスファンド)を買う」のが良いと思います。(私はバンガードのインデックスファンドを勧めます)。
この方針で運用された財産の長期間のパフォーマンスは多くの投資家と比べて優れたものになるはずです。例えば、高いコストをかけてファンドマネージャーを雇っている年金基金や運用機関などと比べても優れたものとなるでしょう。
2013年『株主への手紙』より
バフェットは、複雑なモデル式に基づいたポートフォリオを組む必要はなく、単に資産の大部分をS&P500に連動するインデックスファンド(アメリカの主要な500社に投資する投資信託)に投資すれば良いと言っているのです。
経費率0.03%のVOOという投資信託がありますが、これがまさにバフェットの勧める「S&P500に連動する非常に低コストの投資信託」であり、要するにバフェットは「難しいことを考えずにVOOを買っておけばよい」と言っていることになります。0.03%という経費率は、1%というロボアドバイザーの手数料と比べて、わずか3%です。
多くのブログがロボアドバイザーを進める理由はアフィリエイト報酬が高いから
このように、ロボアドバイザーを通さなくても、投資信託を直接買う方が、手数料も断然安いし、パフォーマンスも期待できるにも関わらず、多くのウェブサイトやブログが初心者向けの資産運用方法としてロボアドバイザーを勧めています。
その理由は、大きく2つあると思います。
1つ目は、ロボアドバイザーが最近出てきたサービスであるため、画面も綺麗で、操作なども分かりやすく、たしかに初心者にとって取っつきやすいからです。
ロボアドバイザーをおすすめしないと書いてきましたが、全く資産運用をしないことと比べると、ロボアドバイザーを用いてでも資産運用をする方が将来的には大きなリターンが期待できます。そういった意味で、資産運用を行うにあたって最適な方法ではないとしても、とりあえず初心者が分かりやすいサービスで資産運用を始めてみるという意味では、ロボットアドバイザーにも使い道はあると言えるでしょう。
2つ目は、ロボアドバイザーのアフィリエイト報酬が高いからです。
これはブログ業界の裏側のような話になってしまいますが、2019年現在、普通のオンライン証券の口座開設1件あたりの報酬が500円程度であることが多いのに対して、ロボアドバイザーの口座開設1件あたりの報酬は2000円程度であることが多いです。つまり、ウェブサイトやブログを運営している側からすると、普通の投資信託を勧めて証券会社に口座を開いてもらうよりも、ロボアドバイザーを勧めて利用してもらう方が、ざっくりと4倍の収益が期待できるのです。
まとめておきましょう。
ロボアドバイザーをおすすめしない3つの理由
- ロボアドバイザーは、裏側は投資信託を購入しているだけだから
- ロボアドバイザーの手数料は、投資信託を直接購入した場合に比べて、かなり割高だから
- ロボアドバイザーは複数の投資信託にお金を振り分けてくれるが、その必要はないから
また、多くのブログやウェブサイトがロボアドバイザーを勧める理由は、アフィリエイト報酬が高いから。
初心者の資産運用におすすめなのは投資信託によるインデックス投資

それでは、ロボアドバイザーを使わないなら、初心者の方はどのように資産運用をすれば良いのでしょうか?
初心者は投資信託でインデックス投資をしよう
もう散々書いてきましたが、おすすめは投資信託を直接買うことです。
そうすることで、手数料を中抜きされることなく、安い手数料で資産運用をすることができるからです。
投資信託は、証券会社の口座を開くと購入することができます。どの証券会社で買っても、同じ投資信託であれば変わらないので、好きな証券会社を開きましょう。楽天ポイントユーザーであれば楽天証券でも良いですし、最大手がよければSBI証券でも良いでしょう。筆者は大手オンライン証券のひとつであるマネックス証券を使っています。
具体的にどのような投資信託を買えばよいかというと、こちらも先ほど紹介したとおり、ウォーレン・バフェットが2013年の「株主への手紙」で書いていた「S&P500に連動するように運用されている投資信託」を買えばよいでしょう。(S&P500とは、先ほども書いたようにアメリカの主要な500社の株価から計算されるインデックス指数です。)
ちなみに、このようにインデックス指数に連動するような投資を行う方法を「インデックス投資」といいます。詳しくは、以下の記事で解説しているので「インデックス投資が良く分からない」という方は、こちらの記事を読んでみてください。
さて、ついでにS&P500に連動するように運用されている投資信託をガンガン紹介していきます。
(1)米国株ETF
各オンライン証券が提供している米国株サービスを使えば、アメリカの取引所に上場している投資信託(ETF)を購入することができます。S&P500に連動する投資信託(ETF)には、以下のようなものがあります。
Vanguard 500 Index Fund(VOO)
バンガード社が運用してくれるETFです。S&P500経費率は0.03%と激安です。
Ishares S&P 500(IVV)
資産運用会社最大手のブラックロックが運用してくれるETFです。経費率は少し上がって0.04%です。
(2)日本株ETF
米国株サービスが良く分からないという方は、日本の東京証券取引所に上場している投資信託(ETF)を買う方法もあります。
SPDR S&P500 ETF(1557)
こちらも大手の運用会社であるステートストリートが運用してくれるS&P500連動のETFです。
アメリカの取引所にもSPYとして上場していますが、日本の東証にも上場しているため気軽に購入することができます。
経費率は0.0945%と上2つと比べると少し高くなっています
(3)通常の投資信託
また、上場しているETFではなく、上場していない投資信託として、S&P500に連動しているものを買う方法もあります。
eMAXIS Slim 米国株式
三菱UFJ国際投信が運用してくれるS&P500連動の投資信託です。経費率は年率0.162%です。
上で紹介したETFと比べると高いですが、ロボアドバイザーと比較すると、まだまだ安いことが分かります。
※一般的に上場していない投資信託は、上場している投資信託(ETF)よりも手数料が高くなります。
なお、「eMAIXS Slim 米国株式」の購入方法については、先ほどと同じくこちらの記事で画面操作も含めて説明しています。
インデックス投資で老後は安心?
ついでに、投資信託を直接買っていくことで、どのくらい資産が増やせるのかという点についても触れておきます。
S&P500に連動する投資信託で資産運用を行った場合、過去の実績では平均して年間に資産が7%程度増えてきました。この数値をもとにシミュレーションを行った場合、毎月2万円ずつ投資すると、30年あれば老後に必要な2000万円が貯まることになります。

グラフでは綺麗な右肩上がりになっていますが、実際には上がったり下がったりしながら増えていくことになります。また、あくまでもシミュレーションであるため、30年間で必ず2000万円を超えるというわけではありません。
「毎月3万円ずつ投資した場合」、「毎月5万円ずつ投資した場合」のシミュレーションも以下の記事で紹介していますので、もしよければご覧ください。
まとめ
最後に、今回の記事の内容をまとめておきます。
まとめ
- ロボアドバイザーは3つの理由でおすすめしない。その理由は(1)裏側では投資信託を購入しているだけだから、(2)投資信託を購入した場合に比べて手数料が高いから、(3)ロボアドバイザーは複数の投資信託にお金を振り分けてくれるが、その必要はないと考えるから。
- 初心者は、S&P500に連動するように運用される投資信託で資産運用をするのがいい。
資産運用でどれだけ資産を増やせるかは未来のことなので確実には分かりませんが、資産運用にかかるコストは確実に抑えることができます。資産運用のコストにも気を配っていくと良いと思います!
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。