この記事の目次
ざっくりいうと

- 株価が下がって、含み損を抱えた場合に、株を売るべきかどうかは投資スタイルによって変わるぞ。
- トレードの場合は、損切りラインよりも株価が下がったら売るべきだ。
- インデックス投資の場合は、売らずに長期保有を続けよう。
- バリュー投資の場合は、ファンダメンタルズに変更があるかどうかに注目しよう。ファンダメンタルズに変更がなければ、割安な状態になっているので、売る必要はないぞ。
株を売らないのは正解?
「株を買ったら、株価が下がっちゃった!」
そんなときには、その株を売った方が良いのでしょうか?
世の中には「損切りが大切」という人もいれば「長期保有こそが正義」という人もいるため、多くの投資初心者は、ここで混乱することになります。
今回は、そんな方々のために、保有している株の価格が下がったときに、売るべきなのかどうかを解説します。
そもそも、株価が下がったときに、その株を売るべきかどうかという問いに対して、普遍的な解答はありません。
なぜなら、その株をどうして買ったのかという「買った理由」によって、売るべきか、売るべきでないかが変化するからです。
ですから、どのような意図・目的で買ったのかを振り返りながら、以下のどのパターンに自分に当てはまるのかを考えてみてください。
パターン別に正解・不正解を解説!
トレーディングの場合
まずは、トレーディング目的で株を買った場合を考えてみましょう。
トレーディングとは?
トレーディングとは、株を買ったときの価格と売ったときの価格の差額から利益を得る投資手法です。1日の中の短時間で売買を行う場合を「デイトレード」、数日〜数週間のスパンで売買を行う場合を「スイングトレード」と呼びます。
トレーディングの場合は一般的に「損切りライン」を決めます。
そのため、結論から言ってしまえば、トレーディングの場合には、損切りラインよりも株価が下がったら「株を売るのが正解」です。
ではどうして、トレーディングにおいては損切りラインを定めるのでしょうか?
一般的にトレーディングにおいては、株を買ったときから株価が数%〜20%程度上がった場合に、株を売って、利益を確定する場合が多いです。
このときに、もしも損切りラインを定めていなければ、何回も取引をして、せっかく数%の利益を積み重ねたのに、ひとつの株が50%下がったので、結局のところ損してしまったという結果になりかねません。
そこで、トレーディングをする場合には、損切りラインを定めることで、損失を一定の範囲に限定するのです。
これも一般論ですが、損切りラインは利益確定ラインよりも浅く設定するようにしましょう。たとえば、もしも株価が10%上がったら、株を売って利益確定すると決めている場合には、損切りラインを「5%下がったら売る」といったように、10%よりも浅く定めるのです。
こうすることで、自然とトレーディングによる利益 > 損失の状態をつくることが出来るようになります。
整理:トレーディングの場合
- 損切りラインよりも株価が下がったら、株を売るのが正解。
- 損切りラインは、利益確定ラインよりも浅く設定する。
インデックス投資の場合
続いて、インデックス投資の場合を考えてみましょう。
インデックス投資って何?という方は、以下をお読みください。
さて、今回も結論から言ってしまうと、インデックス投資の場合は「売らないのが正解」です。
インデックス投資とは、長期的に見ると右肩上がりとなるようなインデックス指数に連動する金融商品(ETFなど)を長期で保有することで、資産を育てていくという投資手法です。
たとえば、アメリカを代表する500企業の株価から算出されるインデックス指数である「S&P500」は、毎日上がったり下がったりするものの、長期的にみると年に7%程度の利回りであることが知られています。
この「長期的には年に7%の利回り」という期待値を信じて投資を行うので、その途中過程において株価が上がったり下がったりしたからといって、そこに一喜一憂する必要もないし、一時的に下がっているからと言って、売る必要もないというわけです。
インデックス指数は、先ほどのS&P500の例にように、複数の企業の株価から算出されますし、そのインデックス指数の算出に使用される企業も定期的に組み替えられます。
そのため、もしも業績が悪化する一方の企業や、倒産するような企業があったとしても、全体で見ると、インデックス指数は上昇していく可能性が高く、長期的なリターンを期待して、保有し続けることが出来るというわけです。
整理:インデックス投資の場合
- 株を売らずに保有し続けるのが正解。
- インデックス投資は「長期的なリターンはプラスである」という期待値を前提としているので、途中の下落で売る必要はない。
バリュー投資の場合
最後にバリュー投資の場合を考えてみましょう。
バリュー投資って何?という方は、こちらの記事をご覧ください。
さて、バリュー投資の場合、株価が下がったときに、その株を売るべきかどうかというのは時と場合によります。
具体的には、企業価値を計算する土台(ファンダメンタルズ)が変わった場合には売るべきですし、ファンダメンタルズが同じであれば、割安の状態が続いているはずですから、株を売る必要はありません。
これだけでは難しいかもしれないので、もう少し詳しく説明します。
株価はファンダメンタルズと相場から構成される
そもそも、株価というのはファンダメンタルズと、相場によって構成されます。
たとえば、ある企業の1株あたり利益が毎年150円だという場合を考えてみましょう。
1株あたり利益が毎年150円ということは、この企業は成長はしていない(横ばい)なので、だいたいPERは10倍〜18倍程度の範囲におさまると思います。
そうすると、あくまでも一例ですが、バリュー投資家は「この企業の価値は、1株あたり1,500円〜2,700円くらいだな」と判断するわけです。
さて、先ほど、株価はファンダメンタルズと相場から構成されるといいました。
この場合、それぞれ以下のように整理できます。
1株あたり1,500円〜2,700円の構成要素
ファンダメンタルズ:1株あたり利益が150円
相場:PERが10倍から18倍
1株あたり利益が150円という前提となる数値情報(ファンダメンタルズ)をベースに、そのときの相場のリスク選好度合いによって、株価がPER10倍〜18倍くらいの間で上下しているイメージです。
ファンダメンタルズに変更がない場合
さて、株価1,800円くらいで「比較的割安だ」と判断して、この企業の株を買ったけれど、その後、株価が1,600円まで下がってしまったとしましょう。
この場合は売るべきでしょうか?売らないべきでしょうか?
もしもファンダメンタルズ、つまり1株あたり利益が150円という状況に変わりがないのであれば、売るべきではありません。
なぜなら、現在の株価1,600円はPERが10.6倍程度の水準であり、PERが10倍〜18倍程度であると考えると、この企業の株は割安な状態にあるからです。相場が回復すれば、株価も上がっていくことが期待できます。
ファンダメンタルズに変更がある場合
では、ファンダメンタルズに変更がある場合はどうでしょう?
たとえば、同じく株価1,800円で買ったけれども、この企業の業績が悪化した結果、1株あたり利益が100円まで下がり、株価が1,600円になってしまった場合です。
この場合は、目先、企業の業績が回復する見込みがなければ、株を売るべきです。
なぜなら、計算の前提となるファンダメンタルズ(この場合は1株あたり利益)が150円から100円にまで低下しているからです。
1株あたり利益が100円から、PERが10倍〜18倍の範囲で株価が決まるとすると、この企業の1株あたりの価値は1,000円〜1,800円程度となります。
この場合、株価1,600円というのは、比較的割高の水準となることが分かります。また、企業の利益が回復しない限り、株を買ったときの1,800円を超えて上に伸びていくことは考えにくいことも分かります。
このように、ファンダメンタルズが変わってしまった場合には、その株から利益を得ることが難しくなりますし、前提となる数値や情報が変わってしまったわけですから、その投資は不透明度が増していることになります。
ですから、株は売ってしまう方が良いのです。
整理:バリュー投資の場合
- ファンダメンタルズに変更がなければ、売る必要はない
- ファンダメンタルズに変更があれば、売った方がよい
自分がどのような投資スタイルなのかを考えながら、売る判断をしよう
以上、含み損を抱えた場合に、株を売るべきかというのをパターンごとに説明してきました。
投資においては、買いの判断よりも、売りの判断の方が難しいものです。
さらに含み損を抱えていると、「さらに下がるのでは?」「いや、もとに戻るかも?」など、気持ちが焦ってしまって、落ち着いた判断が難しいかもしれませんが、このように自分がどのような趣旨で投資したのかを振り返って、適切に判断するようにしましょう。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。