ロナルド・リードという、不幸な投資家の一生

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キャプテン資本主義

どうも、キャプテンです!

投資好きな20代サラリーマン。

インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。

さて、本日はDJ達によって擦られまくったレコードのような古いネタで大変恐縮だが、ロナルド・リードという「実に不幸な投資家」について書きたいと思う。

このロナルド・リードという投資家は、一時期、大変な話題になった、今は亡き爺さんである。

というか、有名になったときには、すでに亡くなっていた爺さんである。

すでに不幸な匂いがプンプンとしている。

だが、ここは鼻をつまんで、まずはロナルド・リードという爺さんについて、説明したいと思う。

8億円以上の資産を築いた、ガソリンスタンドの店員

ロナルド・リードって爺さんのストーリーはこんな話だ。

とある爺さんの物語

アメリカのバーモント州に、平凡な爺さんがいました。名前はロナルド・リード。

爺さんは、地元のデパートやガソリンスタンドという平凡な仕事で生計を立てていました。

そんな爺さんのささやかな趣味は株式投資でした。

爺さんはケチで有名。

車の駐車場ひとつとっても、有料駐車場を避けるために、遠くの無料駐車場に止めて、歩くほどでした。

爺さんは、そうして浮かしたお金でコツコツと株式を買い集めました。一度買った株は決して手放しませんでした。

2014年6月のとある日、爺さんが亡くなったり、世間はこの爺さんが800万ドル分(8億円以上)もの価値がある株券を買い集めていたことを知ったのでした。

おわり。

どう?実に不幸な話でしょ?

でも、この爺さん、長期投資界隈でちょっとしたヒーローになってんだな。

だから、今日は俺が異論を唱えたいと思う。

資本主義と無限の欲望

資本主義ってのは、数字だから、目標が無限になることがある。

貧乏な頃は、1,000万円のお金があれば最高だなと思うんだけど、1,000万円溜まると2億あれば働かなくて済むとか思い始めて、2億溜まると10億あればもっと投資できるとか思い始めて、この無限の欲望にハマっていく。

数字じゃない目標って終わりがあるでしょ。

あの山に登るとか、何かの試験に受かるとか、終わりがあるわけ。

でも、お金を増やしたいという目標には終わりがない。

だから、下手すると沼にハマる。

資本主義において、欲望をうまくコントロールしないと、大変なことになるってのは、奴隷貿易を見ればわかる。

奴隷貿易って、昔の考えが野蛮な人間たちがやってたと思うだろ。

で、『サピエンス全史』っていう、教養深めるなら必読の書があるんだけど、この本を読むと、とんでもない文言が並んでるんだな。

奴隷貿易はどこの国家や政府によっても管理されていなかった。それは純粋な営利事業であり、需要と供給の法則に則って自由市場が運営し、出資していた。民間の奴隷貿易企業はアムステルダムやロンドン、パリの証券取引所に上場していた。良い投資先を探しているヨーロッパの中産階級は、これらの企業の株を買った。当の企業は、こうして調達した資金で船を買い、水夫と兵士を雇い、アフリカで奴隷を買い、アメリカに運んだ。アメリカでは、買った奴隷をプランテーションの所有者に売り、売上金で砂糖、ココア、コーヒー、タバコ、綿花、ラム酒などのプランテーションの産物を買った。ヨーロッパに戻ると、砂糖や綿花などを高値で売り、次の取引に向けてまたアフリカへ出帆した。株主はこの段取りにいたって満足だった。十八世紀を通じて、奴隷貿易への投資の利回りは年率約六パーセントだった。現代のコンサルタントなら誰もが、抜群に儲けが大きいと認めるところだろう。

これを見ればお分かりいただけるように、合理的な人間たちが、合理的に利益を追求した結果、間違った活動に投資資金が流れ込んで、その活動をとんでもなく加速させてしまったわけ。

奴隷貿易ってのは、今風にいえば、当時のイケてるスタートアップだったんだな。

それは道徳的に間違ったスタートアップブームだったんだけど、利回りが6%なら文句言うやつは少ないわな。

これが「投資でお金を増やすこと」を追求するあまりに間違った道を歩んでしまう資本主義の怖さだ。

そもそもお金を稼ぐってのは、他の何かをするための手段なはずだ。

生きるための手段だったり、何か他にやりたいことをするための手段だったりする。

お金を増やすこと自体が目的になったら、その時点で不幸なんだ。

ロナルド・リードは、もう一生困らないだけのお金を稼いだ後も、資産を増やすこと自体が目的になって、死ぬまで株を買い続けて資産を増やし続けたわけで、これは不幸以外の何者でもないってわけ。

現状維持のループ

もう一点、不幸な点がある。

彼は「倹約+投資」という道を選んだばかりに、現状維持のループに陥ってしまった。

倹約して投資をすれば、資本主義社会においては、もちろんお金持ちになれる可能性は高い。

低給料で倹約する生活は、将来使うお金を貯めるために一時的にやるならいい。

だけど、死ぬまでそれを続けるってのは、やはり人生の可能性を狭めていると言わざるをえない。

ロナルド・リードの爺さんは、ある程度のお金を貯めた時点で、たとえば何かを学んで仕事を変えていったほうが人生が豊かになったんじゃないか。

あるいは、世界を一周しながら、本を買いたりするという選択肢はなかったのだろうか。

倹約をして投資にお金を回すというのは、お金を増やすという面においては、たしかに正解だと言える選択肢だ。

だけど、その手近な正解にハマり、ルーティンを続けることが本当に幸せなのか、考えてもらいたい。

投資と人生の意味

お金を増やすこと自体が目的化した人生は不幸だ。

みんなも資本主義の誘惑にハマらずに、お金とは割り切った態度で接して、自分の人生を追求してほしい。

時間を掛ければ、株で億万長者にはなれます。それで?

2018年8月18日

 

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