【第2回】成長企業に投資してもリターンが低い理由。「成長の罠」を理解しよう。







キャプテン
どうも、キャプテンだ。

全5回に分けて「シーゲル流、高配当株投資の教科書」をお送りしています。

シーゲル流の高配当株投資とは、インデックス投資を上回ることができる投資手法として、注目を集めているものです。

前回は、そもそもアセットクラスとして、どうして債券ではなく株式なのかということを説明しました。

今回は、株式に投資をする中で、「成長する企業や分野を当てると儲かる」というよくある勘違いについて説明します。

成長企業への投資は儲かるのか

投資家の中には「成長する企業に投資すると儲かる」という勘違いをしている人がよくいます。

でも、そんな訳がありません。

だって、それだと簡単すぎませんか?

アマゾンやグーグル、フェイスブックは今後5年は成長を続けるでしょうし、それに投資するだけで儲かるなら、株式投資は簡単すぎます。

シーゲル流投資術のバイブル『株式投資の未来』では、一例として、1950年〜2003年のIBMとスタンダード・オイルの比較がされています。

成長企業と古い企業の業績を比較する

IBMの業績

IBMは、今でこそ老舗IT企業という感じがしますが、20世紀後半を考えると、成長するハイテク業界の雄でした。

以下は、当該期間におけるIBMの業績が年間どのくらいのペースで成長してきたかという指標です。

1株あたり売上高の成長率 12.9%

1株あたり配当の成長率 9.19%

1株あたり利益 10.94%

ハイテクセクターの成長率 14.65%

セクター自体が14.65%という高い成長を続ける中で、IBMも売上や利益を毎年10%以上のペースで成長させていたことが分かります。

50年間にわたって、売上を毎年13%のペースで成長させるというのは凄いことではないでしょうか。

毎年13%の成長を続ければ、その売上は、50年間で450倍に増えたことになります。

スタンダード・オイルの業績

一方で、同じ期間におけるスタンダード・オイルの業績の成長ペースは以下の通りでした。

1株あたり売上高の成長率 8.04%

1株あたり配当の成長率 7.11%

1株あたり利益 7.47%

エネルギーセクターの成長率 -14.22%

経済の中心が重厚長大産業からIT・情報産業にシフトしていく中で、エネルギーセクターが縮小しています

スタンダード・オイルは、そうした環境の中でも、売上を毎年8%ほど成長させていますし、利益も7.5%ほどのペースで成長させています。

年間8%の成長を50年続けると、その売上は50年間で46倍に成長したことになります

とはいえ、IBMの450倍と比べると、歴然とした差があります

さて、ここまで読んで、こう思われるかもしれません。

「ほらね、成長するセクターをあてて、成長する企業をあてることが大切じゃないか」と。

成長企業と古い企業のリターンを比較する

しかし、両者にそれぞれ1950年から2003年に投資をした場合、投資家にリターンをもたらしたのは、スタンダード・オイルだったのです

スタンダード・オイルは当該期間の間、投資家に年率にして14.42%のリターンをもたらしました。対して、IBMは13.83%のリターンに留まっています。

50年間、14.42%で運用すると元本は841倍になります。13.83%で運用すると649倍です。

IBMは、スタンダード・オイルを大きく上回る成長を続けたのに、どうして株主に充分なリターンをもたらすことが出来なかったのでしょうか。

どうして成長企業への投資が儲からないのか

成長企業に投資して、業績はぐんぐんと成長していったのに儲からない。。

そこにはシーゲル教授が「成長の罠」と呼ぶものが潜んでいます。

過度な期待を背負う成長企業

計測期間におけるIBMの平均PERは26.76%であったといいます。

PERというのは、株価がその企業の利益の何倍かという指標です。たとえば、ある企業の一株あたり利益が1ドルであるときに、株式が10ドルで取引されていればPERは10倍、株式が20ドルで取引されていればPERは20倍です。

つまり、IBMの株価は、1株あたり利益の26.76倍程度で取引されていたということになります。

さて、ウォール街の投資家たちが株式に投資をするとき、あくまでもざっくりですが、PER分くらいの利益成長率を企業に対して期待しています。IBMはざっくりと毎年27%程度の成長率を期待されていたということです。

しかし、実際の1株あたり利益の成長率は上に見た通り、10.94%でした。IBMはぐんぐんと成長していましたが、それは投資家の期待の半分にも満たなかったのです。

投資家は、成長企業に対して、過剰に期待をしがちであることが分かります。

また、株価が割高であったことから、IBMの配当利回りは平均して2.18%にとどまりました。

期待されない古い企業

一方で、スタンダード・オイルのPERは平均して12.9倍程度でした。

1株あたり利益が7.47%で成長したことを考えると、こちらも投資家の期待を上回ったとは言えませんが、そのPERと1株あたり利益の成長率の差をIBMと比較すると、相対的に割安な価格であったことが分かります

また、株価が割安であったことから、配当利回りは平均して5.19%と、IBMの2倍以上でした。

IBMよりも業績の成長が緩かったスタンダード・オイルが、投資家へのリターンではIBMを上回った理由は、以下のように整理できます。

IBMは過剰な成長を期待されていたため、常に株価が割高であった。そして、実際のIBMの成長は、その過剰な期待の半分にも満たなかった。

一方で、スタンダード・オイルはIBMほどの成長を期待されていなかったため、株価が相対的に割安であり、配当利回りも大きかった。

そのため、スタンダード・オイルの投資家は、IBMの投資家よりも、多くのリターンを得ることができた。

投資家は業績だけでなく、その企業への期待も考慮しなければいけない

さて、ここまで書いてきたことを整理したいと思います。

業績を急激に成長させる華々しい企業は、必ずしも投資家に高いリターンをもたらすわけではありません。むしろ、古くさい企業の方が投資家にリターンをもたらすことの方が多いのが現実です

その理由は、成長中の企業には、投資家の過剰な期待が掛かり、株価が割高になるためです。多くの成長企業は、その過剰な期待を上回ることができません。

一方で、古くさい企業は、成長企業と比べると業績の伸びは地味なものがあります。しかし、投資家からの過剰な期待が掛からないために、株価は割安に放置されやすいのです。

古くさい企業は、業績の伸びにおいては成長企業に負けますが、株価が割高でない分だけ、投資家へのリターンという面では群杯があがるのです。

シーゲル教授は、これを「成長の罠」と呼んでいます。

投資家は、どの業界や企業の業績が伸びそうかということだけではなく、その企業が市場からどのくらいの成長を期待されているのかという点も考慮に入れなければ、リターンを最大化することは出来ないのです。

「シーゲル流の高配当株投資の教科書」に戻る

ヒーロー活動のスポンサーはこいつらだ!