
今日は、イールドカーブというものについて説明します。
この記事の目次
イールドカーブ(利回り曲線)とは
イールドカーブとは、国債の利回りを、その満期までの期間に応じて並べた際の曲線のことを言います。
とはいえ、言葉で説明されても分かりづらいと思うので、実際にご覧いただければと思います。
米国債のイールドカーブは、以下のようなものです。
横軸に国債の満期までの期間、縦軸に金利が並んでおり、それらを繋ぐと緩やかなカーブを描いています。
念のため、グラフの元になったデータも貼り付けておきます。
満期までの期間 | 金利(%) |
1ヶ月 | 2.01 |
3ヶ月 | 2.15 |
6ヶ月 | 2.34 |
1年 | 2.56 |
2年 | 2.74 |
3年 | 2.81 |
5年 | 2.85 |
7年 | 2.92 |
10年 | 2.96 |
30年 | 3.11 |
イールドカーブ(利回り曲線)の見方
さて、このイールドカーブをどのように解釈すれば良いかという点ですが、イールドカーブの見方は実に簡単です。
国債の金利には、景気予測が織り込まれている
まず、大前提として、金利というのは、景気が悪いと下げられて、景気が良いと上げられます。これを調整しているのが中央銀行です。
金利はお金を借りるコストであるため、景気が悪いときには金利を下げて、みんながお金を借りやすくすることで、景気を刺激するのです。一方で、景気が良くて加熱しているときには、サブプライムローンのように横着な借金が増えてくるため、金利をあげてお金を借りにくくすることで、経済の暴走にブレーキをかけます。
これが金利と経済の関係、そして中央銀行の仕事です。
次に、当たり前ですが、国債の金利というのは、短期の国債であれば、より短期的な視野に立った金利が反映されています。長期の国債であれば、より長期的な視野に立った金利が反映されています。
数ヶ月で満期を迎える債券であれば、現在の金利を参考に値付けをしても問題ありませんが、10年後まで金利を受け取る債券であれば、10年後までの金利がどのように推移していくかを想定して値付けをしなければなりません。
つまり、国債の金利には、その満期までの期間における景気や金利の予測が織り込まれているということになります。
右肩上がりなら今後の景気は良くなる
さて、それでは具体的なケースを考えてみましょう。
先ほどのイールドカーブは、短期の金利ほど低く、長期の金利ほど高いという右肩上がりの曲線になっていました。
その場合、今後の景気は良くなると考えることができます。
なぜなら、イールドカーブが右肩上がりであるということは、「長期的には、現在よりも金利が高い状態になっているだろう」という予想、つまり景気が良い状態になっているだろうという予想が織り込まれているからです。
米国債は、世界中の投資家やトレーダーによって取引されています。つまり、これは世界中の投資家たちの予想が反映された指標だと考えられるわけです。
イールドカーブが右肩下がりであれば、10年後や30年後には、現在よりも金利が低い(つまり景気が悪い)という予想が織り込まれているということになります。
イールドカーブ(利回り曲線)の確認方法
さて、それでは続いて、現在のイールドカーブを簡単に確認する方法をお伝えします。
Investing.comがオススメ
イールドカーブをパッと確認するためには、Investing.comの「アメリカ 国債利回り」のページがオススメです。
以下のリンクから飛べますので、ぜひブックマークしておいてください。
以前のイールドカーブからの変化にも目を向けよう
Investing.comでは、1年前および1ヶ月前のイールドカーブもあわせて表示されています。

現在のイールドカーブは、1年前と比べて長期金利はあまり上がっていないのに対して、短期金利がググっと上がり、全体としてイールドカーブがフラットになっています。
ここからは、「現在の景気は1年前よりも随分と良くなっているが、将来的な見通しは変化がないままだ」という投資家たちの気持ちが読み取れます。
イールドカーブの角度が急な場合は「スティープだ」、イールドカーブが寝ている場合は「フラットだ」といいます。
景気が成熟して、後退していく過程では、当然、イールドカーブがスティープな状態から、フラットになり、最後は右肩下がりになるわけですから、1年前よりもイールドカーブがフラットになったということは、景気が成熟して少しづつ後退に近づいていることを示しています。
イールドカーブ(利回り曲線)を投資に活かす方法
最後に、イールドカーブを投資に活かすアイデアを書いておきます。
イールドカーブが右肩下がりになったら景気後退に備える
イールドカーブが右肩下がりになると、今後景気の後退が予測されているということになります。
その場合は、資産運用の面でも景気の後退に備えるのが良いでしょう。
たとえば、資産を株式で運用するのであれば、景気が悪いときでも購入されるような生活必需品を製造している企業(P&G、コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン等)の株式の比率を増やすということが考えられます。
或いは、株式にこだわらないのであれば、資産を一部、株式から債券に移すというのも手です。
イールドカーブが立ってきたら、銀行株に投資する
逆に、景気後退局面を終えて、イールドカーブが再び右肩上がりになってきた場合には、銀行株を購入するという投資アイデアもありうるでしょう。
銀行株は、消費者からの預金(短期金利を適用)でお金を調達して、それを長期で貸し付ける(長期金利を適用)ことでお金を稼いでいます。
つまり、銀行株は、長期金利と短期金利の差が開けば開くほど儲かるというわけです。
景気後退局面を終えて、長期金利が立ってきたら、イールドカーブがスティープになるのに備えて、銀行株を買っておくことで、銀行株の業績の好転時の上げ幅を取ることができる可能性があります。
キャプテンのひとこと

金利は、経済や景気を見るときの基本中の基本だ。
まずはイールドカーブを見ることで、景気を俯瞰できるようになろう!
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。