どうも、キャプテンです。
今回は、Lyft(リフト)の株価について、割高・割安を考えます。
Lyftの基本情報は、以下の記事にまとめてあるので、そちらを読んでくださいね。
それでは、さっそくバリュエーションしていきましょう。
Lyftの株価は割安?
直近の経営状況の振り返り
まずは、簡単に直近の経営状況を振り返っておきましょう。
(1)利用者数・利用頻度ともに順調に成長中
Lyftは、UBERの競合で、自動車配車サービスを提供しています。
Lyftの特徴は、タクシー会社がサービスを提供するのではなく、一般人が自家用車を用いて運転手としてサービスを提供するC2Cの仕組みにあります。
いわゆるシェアリングエコノミーと呼ばれるようなサービスです。
Lyftは、利用者数・利用者あたり金額(利用頻度)ともに順調に成長しています。
2019年第4四半期の決算では、以下のような数値が発表されました。
- 利用者数が約2,300万人(前年比23%増)
- 利用者あたり金額が$44.40(同じく前年比23%増)

結果、Lyftの売上は順調に成長しています。
売上成長率こそ年々鈍化しているものの、まだ年率60%台という急成長を続けています。

(2)利益やキャッシュフローは赤字
一方で、利益や営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー等はまだ赤字が続いています。

(2)経営状況のまとめ
以下、Lyftの直近の経営状況を整理します。
- 利用者数・利用頻度ともに順調に成長中
- 売上は伸びているものの、まだ赤字の成長企業
Lyftのバリュエーション
さて、続いてLyftのバリュエーションを見ていきましょう。
(1)バリュエーションの基礎は使えない
まずは、バリュエーションの基本を振り返っておきましょう。
DCF法に基づく計算式
事業価値 = フリーキャッシュフロー / (割引率 − フリーキャッシュフロー成長率)
この事業価値が、現在の売値(時価総額 + 純負債)よりも高ければ割安、低ければ割高だと判断できます。
しかし、Lyftは赤字企業であるため、一般的なDCF法で事業価値を計算することができません。
そこで、今回はソフトバンク・ビジョン・ファンドで用いられているスタートアップ向けのバリュエーション方法を使って、事業価値を計算してみたいと思います。
以下のような手順です。
- 5年後のフリーキャッシュフローを予想
- その数値を25倍する
- その数値を年率30%で5年分(5回)割り引く
- その数値を4割引する(60%で評価する)
(2)Lyftの売値
まずは、先にLyftの売値を確認しておきましょう。
現在、Lyftの時価総額は$12.06B、純負債は2.37Bです。
合計すると、Lyftは$14.43Bで売られていることになります。
(3)Lyftの5年後のフリーキャッシュフロー
続いて、Lyftの5年後のフリーキャッシュフローを考えます。
まず、5年後のEPS(アナリスト予想)は$2.56です。
Lyftの発行済株式数は293,793,000株なので、純利益に直すと$0.7Bとなります。
さて、Lyftの減価償却および設備投資はいずれも大した金額ではないため、純利益をそのままフリーキャッシュフローの代わりにとして使います。
(4)ビジョンファンド流バリュエーション
まず、$0.7Bを25倍すると$18.8Bとなります。
これを30%で5回割り引くと$5.0Bです。
さらに4割引すると$3.0BがLyftの事業価値ということになります。
Lyftの売値は14.43Bなので、めちゃくちゃ高いという結論に。。。
そう考えると、ビジョンファンドって結構買い叩いてるんですね。。
(5)違う方法で再挑戦
さて、これで終わりにすると、ちょっと物足りないので、再度バリュエーションに挑戦します。
以下のような方法で行いたいと思います。
- 5年後のフリーキャッシュフローをベースに、DCF法で事業価値を計算
- その5年後の事業価値を年率10%で割り引いた上で、リスクを考慮してさらに3割引したものを現在の事業価値と計算
- その事業価値を売値と比較する
それでは、Lyftの事業価値を計算してみましょう。
フリーキャッシュフローの成長率に応じた事業価値を表にすると、以下のようになります。
(成長率については、短期が5年後〜10年後までの5年間、長期がその後の成長率です)
割引率 | 成長率(短期) | 成長率(長期) | 事業価値(5年後) | 事業価値(現在) | 売値との差額 |
10% | 24% | 4% | $18.1B | $11.2B | -$3.2B |
10% | 28% | 4% | $20.9B | $13.0B | -$1.4B |
10% | 32% | 4% | $24.1B | $15.0B | $0.5B |
10% | 36% | 4% | $27.6B | $17.2B | $2.7B |
将来的な成長率が4%程度に収束する場合、短期(5年後〜10年後の5年間)の成長率が32%程度であればフェアバリューです。
短期の成長率が32%程度よりも低い場合、現在の株価は割高です。
短期の成長率が32%程度よりも高い場合、現在の株価は割安です。
ちょっと無理やりですが、それらしいバリュエーションになりました。
さて、この32%程度というフリーキャッシュフロー成長率は現実的なのでしょうか?
フリーキャッシュフローではないですが、EPS成長率のアナリスト予想を見てみましょう。
該当期間のEPS成長率の予想は、平均すると約41.5%となっています。

これらの数値から考えると、Lyftの現在の株価はやや割安だと言えると思います。
ただし、Lyftはまだ非常に若い企業のため、そもそも将来の予想数値の正確性は非常に疑わしいところです。
計算途中でリスクを考慮して3割引などの考慮はしましたが、「無理矢理にでもバリュエーションすると、こんな感じになった」という程度に捉えていただけると嬉しいです。
個人的には、長期投資をするなら、フリーキャッシュフローベースで黒字化してバリュエーションしやすくなるのを待ってからやるのが良いかなと思います。
それでは、今回は以上で!
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。