【ABBV】アッヴィの株価は割安?(2020年2月@94.9ドル)【ヒュミラ特許切れとアラガン買収】

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キャプテン資本主義

どうも、キャプテンです!

投資好きな20代サラリーマン。

インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。

 

どうも、キャプテンです。

 

今回は、アッヴィの株価について、割高・割安を考えます。

アッヴィの基本情報は、以下の記事にまとめてあるので、そちらを読んでくださいね。

【ABBV】アッヴィ:株価・銘柄分析・決算・業績と配当

2020年1月2日

 

それでは、さっそくバリュエーションしていきましょう。

 

アッヴィの株価は割安?

直近の経営状況の振り返り

まずは、簡単に直近の経営状況を振り返っておきましょう。

 

(1)ヒュミラの特許切れ問題

まず、アッヴィが直近抱えている問題は、ヒュミラの特許切れ問題です。

ヒュミラは、世界でナンバーワンの売上を誇る薬で、アッヴィの売上の6割を占める主力商品です。

 

これがアッヴィの素晴らしい業績を支えているわけですが、直近ヒュミラはピンチを迎えています。

どのようなピンチかというと「特許切れの崖」です。

 

欧州では、今年から特許が切れて類似薬品が登場したことで、米国外のヒュミラ売上が前年比で31%も減少しました。

たったの1年で売上が31%減というのは強烈です。

とはいえ、米国外のヒュミラ売上は、米国のヒュミラ売上と比べると小さく、$6Bが$4Bに下がった程度です。

 

アッヴィの株主を悩ませているのは、2023年にアメリカでも特許切れを迎えることです。

米国でのヒュミラ売上は$14.8Bと巨大で、これだけで会社全体売上の約半分弱を占めています。

もしもこれが年に3割減ると、それだけで$4.5B程度の減収インパクトとなります。

2023年までにヒュミラの売上減少を補うことができる収益柱を育てられるかが注目されています。

 

米国外でのヒュミラの売上減などの影響によって、売上は2019年から横ばい気味となっています。

 

(2)その他の薬品

ヒュミラの次に売れているのがインブルヴィカ(IMBRUVICA)です。

2019年の売上は、前年比30.2%増の$4.6Bでした。

まだまだ規模は小さいものの、この勢いで成長を続ければ、2023年までに$13Bを超える年間売上となる可能性があります。

また、マヴィレット(MAVYRET)も年間売上が$1Bを超える製品ですが、2019年には売上が前年比で減少してしまっています。

 

(3)アラガンの買収

既存の商品だけでは、将来的な売上の落ち込みを補うのが難しいため、アッヴィはM&Aを進めています

具体的には、アラガンの買収を行なっており、2020年1Qに完了する予定です。

 

アラガンは美容向けの医薬品に強みを持つ製薬企業です。年間売上は$16B程度で、現在のヒュミラの売上と同程度です。

アラガンの営業キャッシュフローは$7B程度で、営業キャッシュフロー率は40%強なので、アッヴィの営業キャッシュフロー率と同程度です。

 

アラガンの売上・営業キャッシュフローの推移は、以下の通りです。

 

(3)経営状況のまとめ

以下、アッヴィの直近の経営状況を再度整理します。

  • 素晴らしい業績を残してきたが、米国での「ヒュミラ特許切れの崖」が迫っている
  • 二番手のインブルヴィカは順調に成長している
  • アラガンの買収を2020年1Qに完了予定

 

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アッヴィのバリュエーション

さて、続いてアッヴィのバリュエーションを見ていきましょう。

 

(1)バリュエーションの基礎

まずは、バリュエーションの基本を振り返っておきましょう。

DCF法に基づく計算式

事業価値 = フリーキャッシュフロー / (割引率 − フリーキャッシュフロー成長率)

 

この事業価値が、現在の売値(時価総額 + 純負債)よりも高ければ割安、低ければ割高だと判断できます。

 

(2)アッヴィの売値

現在、アッヴィの時価総額は$140.4B、純負債は27.1Bです。

合計すると、アッヴィは$167.5Bで売られていることになります。

 

(3)アッヴィのフリーキャッシュフロー

アッヴィの直近のフリーキャッシュフローを確認します。

ざっくりとしたフリーキャッシュフローは、2019年時点で$12.8Bです。

 

(4)フリーキャッシュフローの成長率と事業価値

それでは、アッヴィの事業価値を計算してみましょう。

フリーキャッシュフローの成長率に応じた事業価値を表にすると、以下のようになります。

割引率 成長率 事業価値 売値との差額
10% -4% $91.2B -$76.3B
10% -2% $106.4B -$61.1B
10% 0% $127.7B -$39.8B
10% 2% $159.6B -$7.9B
10% 4% $212.8B $45.3B

 

今後の成長率が4%程度であればフェアバリューです。

今後の成長率が4%程度よりも低い場合、現在の株価は割高です。

今後の成長率が4%程度よりも高い場合、現在の株価は割安です。

 

この4%程度というフリーキャッシュフロー成長率は現実的なのでしょうか?

 

フリーキャッシュフローではなくEPSになってしまいますが、アナリスト予想では2025年までのEPS成長率の平均0%弱となっています。

 

これらの数値から考えると、フリーキャッシュフロー成長率が長期的に4%というのは少し難しいと思います。

現在のアッヴィの株価は、割高だと言えるでしょう。

割引率10%、成長率0%で考えると、71ドルくらいで買えると嬉しいところです。

 

また、$63Bでアラガンの買収も予定しているため、そちらも考慮しておきましょう。

アラガンは純負債が$17.3B程度なので、アラガンの事業を$80B程度で買うことになります

アラガンは、年間のざっくりフリーキャッシュフローは$6.8B程度なので、割引率10%、成長横ばいで計算すると事業価値は$71Bとなります。

そうすると、アラガンの買収は$9B程度のプレミアムを払うことになります。

 

実際は、買収価格の一部を現在やや割高のアッヴィ株で支払うので、$9Bのキャッシュ負担が増えるわけではないですが、ざっくりと$9Bのプレミアムを支払うと考えると、アッヴィは株価65ドル程度で買えると本当に安心かなと思います。

 

なお、フェアディスクロージャーのために書いておくと、僕はアッヴィを昨年(アラガンの買収発表前)に71.5ドルで購入しています。

 

【ABBV】アッヴィ:株価・銘柄分析・決算・業績と配当

2020年1月2日

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