どうも、キャプテンです。
今回は、IBMの株価について、割高・割安を考えます。
IBMの基本情報は、以下の記事にまとめてあるので、そちらを読んでくださいね。
それでは、さっそくバリュエーションしていきましょう。
IBMの株価は割安?
直近の経営状況の振り返り
まずは、簡単に直近の経営状況を振り返っておきましょう。
(1)クラウドとSaaSにキャッチアップ中
IBMは1990年代にコンサル事業に参入すると、2000年代にはソフトウェア販売事業で売上を大きく伸ばしました。
しかし、この成功体験によって、2010年代の時代の流れに乗り遅れることとなります。
2010年代からは、クラウドとSaaS(Software as a Service)の時代です。
ソフトウェアやサーバーを買い切りで販売していたIBMは、サブスクリプション形式のクラウドやSaaSには、やや乗り遅れたと言えるでしょう。
クラウド事業には参入していましたが、AWS(アマゾン)やAzure(マイクロソフト)のようなパブリッククラウドではなく、プライベートクラウドを推してきました。結果、伸びたのはパブリッククラウド市場であったため、苦戦気味です。
また、IBMが取り組んできたクラウドはインフラのみであり、ソフトウェア部分のクラウドサービス(Software as a Service)には取り組んできませんでした。直近は、RedHatを買収して、こちらにも力を入れています。
(2)事業再編で売上は減少
IBMはクラウド事業を伸ばしつつ、サーバーの販売事業など、将来性の低い事業を手放しています。
クラウド事業は年20%程度で成長していますが、まだ売上の減少を支えるほどではないため、IBMのトップラインは2010年代を通じて減少を続けてきました。

2019年12月には、5四半期ぶりに売上が反転しましたが、まだしばらく厳しい状況は続きそうです。
(3)経営状況のまとめ
以下、IBMの直近の経営状況を再度整理します。
- クラウドやSaaS分野で競合に出遅れたため、現在はキャッチアップ中
- 売上は2010年代を通じて減少しており、底打ちの傾向は見えるものの、まだしばらく苦戦は続きそう
IBMのバリュエーション
さて、続いてIBMのバリュエーションを見ていきましょう。
(1)バリュエーションの基礎
まずは、バリュエーションの基本を振り返っておきましょう。
DCF法に基づく計算式
事業価値 = フリーキャッシュフロー / (割引率 − フリーキャッシュフロー成長率)
この事業価値が、現在の売値(時価総額 + 純負債)よりも高ければ割安、低ければ割高だと判断できます。
(2)IBMの売値
現在、IBMの時価総額は$133.5B、純負債は59.3Bです。
合計すると、IBMは$192.8Bで売られていることになります。
(3)IBMのフリーキャッシュフロー
IBMの直近のフリーキャッシュフローを確認します。
ざっくりとしたフリーキャッシュフローは、2019年時点で$12.4Bです。

(4)フリーキャッシュフローの成長率と事業価値
それでは、IBMの事業価値を計算してみましょう。
フリーキャッシュフローの成長率に応じた事業価値を表にすると、以下のようになります。
割引率 | 成長率 | 事業価値 | 売値との差額 |
10% | -2% | $103.3B | -$89.5B |
10% | 0% | $124.0B | -$68.8B |
10% | 2% | $155.0B | -$37.8B |
10% | 4% | $206.7B | $13.9B |
10% | 6% | $310.0B | $117.2B |
今後のフリーキャッシュフロー成長率が4%程度以上であれば、現在の売値はフェアバリューだということになります。
今後の成長率が4%程度よりも低い場合、現在の株価は割高です。
今後の成長率が4%程度よりも高い場合、現在の株価は割安です。
この4%程度というフリーキャッシュフロー成長率は現実的なのでしょうか?
IBMは、過去10年のざっくりとしたフリーキャッシュフロー成長率は平均-3%程度です。
フリーキャッシュフローではなくEPSになってしまいますが、アナリスト予想では2023年までのEPS成長率の平均は4%弱となっています。

IBMは、過去にも衰退産業から成長産業に乗り換えてきた経緯があります。クラウド事業も徐々に成長してきているので、長期的に考えると、年4%程度のフリーキャッシュフロー成長率は達成できるのではないかと思います。
一方で、直近のフリーキャッシュフロー成長率は年4%を下回ることが多いでしょう。
現在の株価は、超長期であれば概ねフェアバリュー、数年で見れば割高だと思います。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。