今回のテーマ:ウォーレン・バフェットとレバレッジについて

ウォーレン・バフェットは堅実な投資家というイメージがあるけれど、レバレッジについては、どう考えているんだろう?
こんな疑問を解消していきます!
バフェットは、レバレッジについては否定的な考えをインタビューでも示していますが、実は本人はレバレッジを上手に掛けています。
こうした内容について、語っていきますね。
この記事で分かること
- バフェットのレバレッジについての発言
- バフェットはフロートを使ってレバレッジを掛けている
- 日本にも、同じようにリスクを管理しつつレバレッジをかけている、世界的な投資家が一人…
この記事の目次
ウォーレン・バフェットはレバレッジをかけている?
バフェットのレバレッジに関する言葉
ウォーレン・バフェットは、堅実な投資家として知られています。
過去にはCNBCのインタビューで、以下のように相棒チャーリー・マンガーの言葉を引用して、レバレッジをかけることを戒めました。
私のパートナーチャーリーは、賢い人が壊れる可能性があるのは、酒(Liquor)、女性(Ladies)、レバレッジ(Leverage)の3つしかないという。
こうした言葉を素直に受け取ると「あの投資の神様であるバフェットがレバレッジはいけないと言っている。レバレッジをかけるのはダサい投資家のやることだ。」と思うかもしれません。
しかし、実はバフェット、ちゃっかりとレバレッジをかけた投資をしているのです。
バフェットは、実はレバレッジをかけている?
バフェットの投資会社バークシャー・ハサウェイは、たくさんの保険会社に投資して、子会社化しています。
例えば、アメリカの巨大な自動車保険会社ガイコなどは、バークシャー・ハサウェイの100%子会社です。
さて、こうした保険会社はフロートというものを生み出します。
例えば、自動車保険のガイコの例で考えてみましょう。
まずは、自動車の保有者がガイコに保険料を支払います。その代わりに、事故があったときにはガイコから保険金の支払いを受け取ることができるわけです。
さて、ガイコは保険金の支払いに備えて保険料をプールしておく必要がありますが、これは逆にいえば、常に余剰資金(プールされた保険料)を抱えていることになります。
この余剰資金を「フロート」と呼びます。
では、保険会社はこのフロートを単に現金で寝かせているのでしょうか?
そんな訳がありません。保険会社はこのお金を資産運用に使うことができるわけです。
「保険料」として加入者から預かって、いつかは「保険金」としてユーザーに返さなければいけないお金。
これはまさしく「借金」ですよね?
ウォーレン・バフェットは、こうした保険会社の株式を購入して支配することで、保険会社の株に投資しつつ、さらにその保険会社のフロート(借金)を使って、さらなる投資を行なってきたのです。
バフェットは、フロートという借金が得られる企業の株式を好んで購入してきましたが、それは保険会社に限らず、例えばアメリカン・エキスプレスが発行していた「トラベラーズチェック」などにも当てはまります。
トラベラーズチェックとは旅行用小切手のことです。例えば旅行者が1000ドル分のトラベラーズチェックを購入したとします。このトラベラーズチェックは、旅行者がサインをしないと使えず、紛失時には再発行してもらえるので、旅行時には現金を持ち歩くよりも安全という商品です。
さて、アメリカン・エキスプレスの立場から考えてみると、旅行者にトラベラーズ・チェックを売った時点で、まず先に現金が入ってきます。この現金は、旅行者がトラベラーズチェックを実際に店舗で使うと、その店舗に対する支払いに使われるわけです。そうすると、旅行者から現金が入ってきて、店舗に支払うまでの間、この現金は実質的には借金だということになります。
このように、バフェットは借金を使った投資を実行してきたのです。
では、バフェットのかけたレバレッジは、一般の個人が信用取引などでレバレッジをかけるのとは、何が違うのでしょうか?
損失を限定しつつ、レバレッジを掛ける
最悪のリスクは子会社や投資先が潰れるだけ
これらのレバレッジに関する一番のポイントは、そのリスクがバークシャー・ハサウェイの本体からは切り離されているということです。
保険会社のガイコやアメリカン・エキスプレスというのは、バークシャー・ハサウェイからすると、子会社や投資先に過ぎません。
もしも、これらの企業がフロート(借金)でレバレッジをかけた投資をして失敗したとしても、潰れるのはガイコやアメリカン・エキスプレスであって、バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイではありません。
もちろんバフェットは慎重なバリュー投資を行うので、これらの企業を投資で失敗して潰してしまうということはないでしょうが。
このようにバフェットのかけているレバレッジは、損失が限定されているというところが特徴です。
個人が信用取引をした場合には、その投資に失敗したときに、レバレッジの負の側面が自分自身に襲いかかってきます。
これがバフェットのフロートを活用したレバレッジと、個人の信用取引を活用したレバレッジの最大の違いなのです。
さて、実は似たようなことをしている世界的な投資家が、もう一人います。
誰だか分かりますか?
そうです、孫正義さんです!
孫正義も子会社のバランスシートを使って投資している
ソフトバンクといえば、危なっかしい投資をしているというイメージがあるかもしれません。
しかし今現在、ソフトバンクグループの本体はかなり健全なリスク管理がされています。
こちらは、2020年3月期の第1四半期決算発表からの抜粋です。
ソフトバンクグループ本体では、純負債を自分たちが保有している株式の価値の25%未満に抑えるというルールがあることが語られています。
つまり、ガチガチにリスク管理がされているわけです。

では、どのようにしてレバレッジをかけているのか?といえば、子会社を活用しています。
例えば、ソフトバンクグループは、ZOZOやLINEといった日本の大手IT企業を次々と傘下に収めていますが、これらを買収しているのはZホールディングスですよね?
さらにいえば、Zホールディングス自体にもフロートが入ってくるような仕組みがあります。
例えばPayPayです。ユーザーがお金をPayPay残高に変えてから、実際にお店で支払いに使うまでの間、先ほどのトラベラーズチェックの例のように、そのお金を借金(フロート)として活用できますよね。PayPay残高の中で、PayPayマネーライトと言われるものは、前払い式支払い手段といって、企業側はユーザーから預かっているお金の半分を自由に投資などに回すことができます。
また、ソフトバンクグループは、世界ではUBERやSlack、WeWork、OYOなど、世界的なテック企業に次々と投資していますが、こちらも子会社というかファンドのソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じて投資しています。これらの投資が失敗したとしても、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが崩壊するだけで、ソフトバンクグループ自体にはリスクはありません。
リスクテイカーのイメージがある孫さんと、堅実な投資家のイメージであるバフェットが、奇しくも同じようにリスクをコントロールしながらレバレッジを掛けていたというのは、面白いですよね。
まとめ
今回は、以下のようなことを説明しました。
- バフェットは、一般の投資家が単純な借金をしてレバレッジを掛けることを戒めているが、自身は保険会社などのフロートを活用して、上手にレバレッジを掛けている
- 同じように、リスクを管理しながら子会社を通じてレバレッジを掛けている投資家に孫正義がいる
- 二人は、損失を限定しつつレバレッジを掛けているという点では共通している
単純な借金ではなく、上手に損失を限定しながらレバレッジを掛ける方法を思いついたら、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
というわけで、今回はこのへんで!
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バフェットがざっくりとマーケットの割安・割高を判断するために使っているバフェット指数については、こちらの記事で紹介しています。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1000万円ほど運用しています。