ペイパルの決算内容(FY2019-3Q)
決算の概要
売上・EPSともに、アナリスト予想を上回る、好決算でした。
○ 売上:$4.38B(予想 + $300M、前年比+19%)
○ EPS:$0.61 (予想 + $0.01、前年比+5.1%)
また、FY2019のガイダンスも悪くないものでした。
- 売上ガイダンス:$17.70B – $17.76B vs アナリスト予想:$17.72B
- EPSガイダンス:$0.81 – 0.83 → $0.81
決算の詳細

売上は、$4.38B(前年比 +19%)でした。
- これは為替の影響は除いた数値です
EPSは、前年比+5.1%の$0.61でした。
売上に比べて、成長率が低いように思われますが、戦略的な投資による影響が$-0.15分あるため、それを除くと$0.76となり、前年比+31%の成長だと説明されています。
戦略的投資の$0.15とは、Paypalが投資しているUber株の暴落などによるものと思われます。
フリーキャッシュフローは、前年比+20%の$923Mでした。
FY2019のガイダンスは、$3.5B以下となっています。少し低めの印象です。
主要KPIの確認
アクティブなアカウント数は、約1000万増えて、2.95億となりました。

YoYで16%の増加であり、まだまだユーザー数が成長していることが分かります。
これらの増加は、主要サービスであるPaypalとVenmoが牽引しています。
来期には3億を超えると思われます。
1アカウントあたりのトランザクション数(決済回数)も伸びており、前年比+9%の39.8回でした。

PaypalやVenmoのユーザーが増えるほど、それらを用いた送金は増えますし、PaypalやVenmoによる支払いを受け入れる店舗やウェブサイトが増えるほど、それらを用いた支払いが増えます。
ネットワーク効果によって、ユーザー数だけでなく、ユーザーあたりの決済回数も成長していきます。
TPV(決済金額)は、前年比25%増の$179Bでした。

モバイルでの決済は、前年比+34%で決済全体の43%を占めています。
P2P送金は、前年比+39%で決済全体の28%を占めています。
ビジネスアップデート
中国市場に進出
中国でGoPayという決済サービスを提供しているGuofubao Information Technologies社の株式を70%取得することが許可されました。
これによって、ペイパルは中国で決済事業を営むライセンスを手に入れ、中国に進出することになります。
買収は年内に完了予定で、ペイパルは中国で決済事業を行う初めての外資企業となります。
中国企業からすると、GoPayを通じてPaypal支払いを導入することで、約3億の国外ユーザーにアクセスすることができるようになります。中国のウェブサイトにクレジットカードのナンバーを入力したくないという海外ユーザーも多いのではないでしょうか。そこでペイパル決済ができれば安心です。
中国人による決済はアリペイやWeChat Paymentが既に抑えていると思われますが、クロスボーダー取引については、まだ勝負の余地があると思われます。
Venmoのマネタイズ状況
ミレニアルズを中心に人気を誇るVenmoですが、マネタイズが上手くできるかというのが注目されています。

UberやUber Eatsなど、Venmo支払いができる場所を増やしていくことで、現在、マネタイズできているユーザー数は、全体の35%に達しました。
売上ベースでみると、年間で$400M程度となっています。
ペイパルの売上は、現時点で年間$18B弱なので、$400Mはまだまだ小さく、今後の進捗を見守っていく必要があります。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。