「直近、PayPal(ペイパル)の株価が下落しているけど、割安なのかな?」
「以前からPayPal(ペイパル)を保有しているけど、ここは売った方が良いのだろうか?」
ペイパルの株価が直近下落していることから、そんな風に悩んでいる方もいるかもしれません。

ペイパルの株価(年初来)
一方、個人的には、ペイパルはわりと魅力的かなと考えています。
そこで、今回は、あくまでも個人的な見解ですが、ペイパルを買いたい理由について整理していきます。
この記事の目次
PayPal(ペイパル)の株価は割安ではないが、僕が買いたい理由
最初に結論を書いておきます。
結論:
ペイパル(PYPL)の株価は、特段割安ではないものの、フェアバリューだと思います。
また、特段の割安感はないものの、個人的にはペイパルを現在の株価水準で買うことには前向きです。
その理由は、ペイパルのビジネスモデルにあります。
ペイパルは、ユーザー規模が増えるほどネットワーク効果が働くビジネスモデルであることから、今後、業績が上振れする可能性があると思うからです。
それぞれ、詳しく説明していきます。
※あくまでも個人的な見解であり、投資判断などはご自身でなさってください。
ペイパル(PYPL)のビジネスモデルをおさらい

まず、はじめにペイパルのビジネスモデルをおさらいしておきます。
ペイパルは、決済サービスです。
ペイパルの加盟店で、ユーザーがペイパルアカウントを用いて決済した場合に、決済額の一部を手数料としてもらうというのがペイパルのビジネスモデルです。
ユーザーは、ペイパルのアカウントを開設してクレジットカードやデビットカードを登録しておくと、ペイパル決済に対応した加盟店(ウェブサイトやお店)で、ペイパルのアカウント(メールアドレスとパスワード)だけで支払いができるようになります。現在、ペイパルを利用しているユーザーは世界に3億人弱います。
加盟店からすると、ペイパルを導入すると、ペイパルアカウントでの支払いを受け付けることができるようになります。先ほど書いたように、ユーザーはペイパルにクレジットカードやデビットカードを紐付けているので、加盟店は間接的にクレジットカード決済やデビットカード決済を導入することができます。
空き部屋の貸し借りサービス「airbnb」や、タクシーサービスの「UBER」や「Lyft」、マーケットプレイスの「Etsy」なんかにもペイパルは導入されています。
ペイパル(PYPL)のネットワーク効果

さて、ペイパルには「ネットワーク効果」が働きます。
「ネットワーク効果」とは、利用者が増えれば増えるほど、そのネットワークの価値が上がるという効果です。
ユーザーが増えると、加盟店にとって価値が上がる
ペイパルのユーザーが多いほど、加盟店はペイパルを導入するメリットが大きくなります。
なぜなら、ペイパルアカウントを持っているユーザーが多いほど、ペイパル決済を導入することによるビジネスチャンスが大きくなるからです。
先ほど説明した通り、ペイパルには3億人弱のユーザーがいます。加盟店からすると、ペイパル決済を導入すると、3億人のユーザーがワンクリックでお金を支払えるようになるのです。これは加盟店にとって、売上を伸ばす大きなチャンスです。
将来的にユーザー数が4億人、5億人と増えていけば、さらに加盟店のビジネスチャンスは広がっていきます。
加盟店が増えると、ユーザーの利便性が上がる
逆に、加盟店が増えると、ユーザーの利便性が上がっていきます。
加盟店が少なければ、ユーザーはペイパルアカウントを作っても、ほとんど利用できる場所がありません。しかし加盟店が増えれば増えるほど、ユーザーはペイパルアカウントで支払える場所が増えるので、便利になっていきます。
ペイパルのネットワーク効果
さて、3億人が利用しているペイパルと、例えば数百万人しか利用していない決済サービスがあるとして、加盟店からすると、どちらを導入するでしょうか?
当然、3億人が利用しているペイパルを導入する方が、売上のアップが見込めるので、ペイパルを導入するでしょう。
それでは、多くの加盟店が導入しているペイパルのアカウントと、加盟店があまり多くない決済サービスと、ユーザーはどちらを使うでしょうか?
当然、多くの加盟店が導入しているペイパルの方が、使える場所が多くて便利なので、ペイパルを使うでしょう。
ペイパルのネットワーク効果
- ユーザーが増えるほど、加盟店のビジネスチャンスが増えるので、加盟店が増える。
- 加盟店が増えるほど、ユーザーにとって便利になるので、ユーザーが増える。
こんな風に、ユーザーと加盟店が増えることで、どんどんペイパルのネットワークの価値が上がっていくので、競合企業に対して有利になる仕組みになっています。
ペイパルのネットワーク価値の高さは、FacebookがInstagramに決済機能を導入する際に、ペイパルの導入を検討していると報じられていることからも分かると思います。
Facebook傘下のサービス(Facebook、Instagram、ワッツアップ)を合計すると膨大なユーザーを抱えていることから、Facebookは自分自身で決済サービスを立ち上げても良いはずですが、それよりもペイパルを導入した方が良いと判断したということです。
それくらい、ペイパルのネットワーク効果は強固だと言えそうです。
しかも、Facebookがペイパルを導入すると、さらにペイパルのユーザーは増加して、ネットワークの価値は高まります。4000万人〜6000万人も増える可能性が指摘されています。
こうして、どんどん強くなっていくのがネットワーク効果の凄いところです。
ペイパルのユーザー数と決済金額の推移
ペイパルのユーザー数
先ほど述べたとおり、ペイパルには直近3億人弱(2.86億人)のユーザーがいます。
この規模で、未だに毎年15%〜17%程度でユーザー数が増えていて、FY2019のうちに3億人に到達すると予想されています。

また、アクティブなユーザー数の増加には、新規ユーザーの増加だけでなく、退会ユーザーの減少も大きく貢献しているとカンファレンスコールで述べられています。加盟店が増えることで、ユーザーにとってペイパルがどんどん便利な存在になっていることが分かります。
また、ユーザー数の増加に貢献しているのが、送金アプリの「Venmo」です。「Venmo」は、LINE PAYのように友だちに無料で送金できるサービスで、アメリカの若者の間で大人気のアプリとなっています。
若いユーザー基盤を拡大するチャンスだと考えたペイパルは、2013年にVenmoを買収しました。現在、Venmoには4000万人以上のユーザーがいるので、2.8億人の4分の1がVenmoユーザーであることが分かります。
ペイパルでの決済金額
ペイパルを用いた決済金額(TPV:Total Payment Volume)は、直近の四半期(Q2-FY2019)で$172Bとなっています。
単純に4倍すると、年間TPVは$688Bです。
これは世界最大の売上を誇るウォルマートよりも大きく、アマゾンの売上の2倍以上です。
しかも、未だに年率25%〜27%で成長しています。

こちらもVenmoによる成長が凄いです。
Venmoは若くて、まだあまりお金のないユーザーが多いため、決済金額では全体の9分の1程度に留まっていますが、TPVは年率70%程度で伸びています。

ペイパル(PYPL)の業績
ペイパルの売上と営業キャッシュフロー
ペイパルのFY2018の売上は$15.5Bでした。

FY2019は、先日ガイダンスが引き下げられ、$17.6B〜$17.8Bが示されています。
2012年に上場してから、ペイパルの売上は毎年15%〜20%程度成長してきましたが、FY2019が$17.6B〜$17.7B程度になるとすると、売上成長率は14%程度に止まります。
これがペイパルの株価が直近下がっている理由です。
直近、確かに売上の成長率が鈍化しているように見えます。

しかし、この売上成長率の鈍化は、ペイパルの本来の売上が鈍っているのではなく、財務的な判断によるものです。
ペイパルは、2018年にM&Aなどの資金を捻出するため、売掛金を売却しています。手形の売却のようなイメージですね。
つまり、昨年のうちに、今年の分の売上を先食いしてしまったため、今年の成長率は低く見えているのです。この売掛金が払いこまれるのを普通に待っていた場合は、売上成長率は未だに19%程度あり、7%の鈍化分はこの財務要因によるものだと説明されています。
現金化を早めることで、M&Aやユーザー数を増やすための投資に使うことができるため、直近の売上成長率が鈍っても、そちらの方が将来長い目で見たときにメリットが大きいと、経営陣は判断したのでしょう。
先ほど述べたように、ネットワークの参加者(ユーザーや加盟店)が増えれば増えるほど、ペイパルは強くなっていくわけなので、ユーザーや加盟店を大きく増やすチャンスがあれば攻めるという判断は、個人的には正しいと思います。
例えば、昨年はiZettleという会社を22億ドルで買収しています。iZettleは、ヨーロッパにおいて店舗がクレジットカード決済を導入する支援をしている会社です。日本でいうCoineyや、アメリカのSquareのようなイメージです。

iZettle
ペイパルは、ウェブサイトの加盟店は豊富な一方で、実店舗の加盟店開拓という意味では、アメリカではSquareなどの競合に少し押され気味です。その反省を生かして、ヨーロッパでは実店舗も抑えられるようiZettleを買収したのでしょう。
他にも、ペイパルのユーザーや加盟店が、決済をあらゆる場所で簡単にできるように、様々な企業を買収しています。
ペイパルのキャッシュフロー
ペイパルの設備投資は、営業キャッシュフローに対して少額なため、毎年大きなフリーキャッシュフローが生み出されています。
直近だと、年間で$4B程度のフリーキャッシュフローを生み出すことが出来ています。

このざっくり年間$4Bのフリーキャッシュフローが、M&Aや株主還元の原資となります。
ペイパルの株主還元状況
ペイパルは、配当は出していませんが、2016年から自社株買いという形で株主還元を始めています。

2018年にはFCFPSの80%程度を自社株買いにあてています。
ペイパル(PYPL)の株価は割安?
さて、ここからはペイパルの株価について考えていきたいと思います。
2018年のFCFは、上でも書いたように2019年の売上を先食いしたことで伸びていることから、2019年のFCFは$4.1B程度に下落するとします。
売上は直近20%弱の成長が継続していることから、FCFの成長率は今後5年は年率20%と置き、その後は成長が鈍化して年率4%であると仮定します。
整理すると、以下のようになります。
今回、前提とする条件
- 2019年のFCFを$4.1Bと置く。
- 以降、5年間はフリーキャッシュフローが年率20%で成長する
- その後は、フリーキャッシュフローが年率4%で成長する
これで将来フリーキャッシュフローの現在割引価値を割引率10%で計算すると、ペイパルの事業価値は$130.74Bと計算できます。
現在のペイパルの時価総額は$125.9Bで、ネット負債は$5.4Bなので、これを合計すると$131.3Bと事業価値と同程度になります。
以上から、ペイパルの現在の株価はおおよそフェアバリューかなと思います。
先ほどのネットワーク効果で説明した通り、今後ますますペイパルネットワークの価値が上がっていくことで、市場を独占して利益率などが上がっていく可能性を考えると、個人的にはフェアバリューで購入できるなら、長期的に保有してみたい銘柄かなと思います。
どうも、キャプテンです!
投資好きな20代サラリーマン。
インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。