アッヴィの株価は割安?ヒュミラの特許切れで欧州での売上が激減。

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キャプテン資本主義
どうも、キャプテンです!

ざっくりいうと

キャプテン
  • abbvie(アッヴィ)は、世界一売れている薬品であるヒュミラを販売している、米国の巨大な製薬会社だ。ヒュミラの成長に支えられて、現在の営業キャッシュフロー率は41%、平時には12.7Bドルものフリーキャッシュフローを生み出すぞ。
  • ただし、特許が切れた欧州では年率20%以上もヒュミラの売上が減っており、米国でも他社によるバイオシミラー薬が2023年以降に発売される予定となっている。
  • 現在の株価で購入した場合、期待リターンは年率5.5%〜11.6%程度と見込まれる。(FCFPSから計算した期待リターンは年率11.6%、配当から計算した期待リターンは年率5.5%)
  • 今後ヒュミラの売上が減少していく中でも、現状のフリーキャッシュフローを保てると思うなら、今のアッヴィの株価は割安だと言えるだろう。

アッヴィ(ABBV)とは?

アッヴィとは、2013年にアボット・ラボラトリーズから分社化された製薬会社です。

アボット・ラボラトリーズは、安定した需要のあるエスタブリッシュな医薬品事業と、新薬開発事業の両方を行なっていましたが、株主からするとそれぞれが分かれている方が投資判断がしやすいため、新薬開発事業がアッヴィとして切り出された形になります。現在、両社の間に資本関係はありません。

アッヴィの主力製品は抗リウマチ薬のヒュミラです。これは2018年に世界で最も売れた薬であり、アッヴィの売上のうち約60%を占める巨大なビジネスとなっています。

ところが、このヒュミラに特許切れの危機が迫っています。欧州では2018年から、米国では2023年から、ヒュミラのジェネリック薬品が発売されることとなっており、欧州では既にヒュミラの売上が大幅な減少に転じています。

直近を見ても、2018年4Qの欧州市場におけるヒュミラの売上は前年比-14.8%の減少、2019年1Qの欧州市場におけるヒュミラの売上は前年比-23.0%と、その減少幅はどんどん大きくなっています。

アッヴィは、ヒュミラの一本足打法から脱却するために、2019年6月にボトックスなどをポートフォリオに持つ製薬会社アラガンを6.3Bドルで買すると発表しています。

また、ヒュミラについても、米国においてはファイザーやモメンタといった米国の製薬会社に対してライセンスを提供して、他社の売り出す薬品からも一定のロイヤリティ収入を得る方針となっています。

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アッヴィ(ABBV)の業績

続いて、アッヴィの業績を見ていきましょう。

売上と営業キャッシュフロー

まずは、アッヴィの売上と営業キャッシュフローを確認します。

アッヴィの売上と営業キャッシュフロー

直近9年は売上が順調に伸びています。

営業キャッシュフローは、2014年に大きく悪化していますが、それ以外の年においては、基本的に売上の30%以上を保っています。2018年に至っては、営業キャッシュフロー率が40%を超えています。これは素晴らしい数値です。

キャッシュフローの推移

2009年以降のキャッシュフローの推移も確認しておきたいと思います。

アッヴィのキャッシュフロー推移

アッヴィは、平時の設備投資額が$0.5B程度に収まっています。

そのため、M&Aなどの特段の事情がなければ、営業キャッシュフローのほぼ全てがフリーキャッシュフローとなることが分かります。

先ほど見たように営業キャッシュフロー率が30%以上あり、継続的に掛かる設備投資費は$0.5B程度に収まっていると考えると、アッヴィは財務的に非常に素晴らしい企業であると言うことができるでしょう。

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アッヴィ(ABBV)の株価は割安?

さて、アッヴィの業績が素晴らしいことは分かりましたが、現在のアッヴィの株価は割高なのでしょうか?それとも割安なのでしょうか?

アッヴィ(ABBV)の株価

アッヴィの株価

アッヴィの株価は、年初の90ドルから71ドルまで下落しています。

上でも説明したように、アッヴィの主力商品であるヒュミラの売上が米国外において減少し始めている点が懸念されているためです。

フリーキャッシュフローに基づくバリュエーション

さて、アッヴィの主力商品であるヒュミラの売上は2024年頃までは増加を続け、その後は米国内におけるジェネリック薬品の解禁によって急激に減少に転じると見込まれています。

アッヴィ全体の売上も、ヒュミラの売上の影響を大きく受けるため、アナリストは以下のような売上推移を予測しています。

アッヴィの売上推移予想(Seeking Alphaより)

このように、将来の売上が不安定なため、バリュエーションを行うにあたってのベースとなる1株あたりフリーキャッシュフロー(FCFPS)と成長率をいくつと置くかが非常に難しい訳ですが、例えば現時点のFCFPSをベースに、今後長期的に見た際に成長率を横ばい(0%)と置くと、将来キャッシュフローの現在割引価値は以下のようになります。

将来キャッシュフローの現在割引価値

= FCFPS /(割引率 – FCFPS成長率)
= 8.30ドル /(10% – 0%)
= 83.0ドル

この試算からすると、現在の株価である71.25ドルは割安であるということになります。

ちなみに、FCFPS成長率を-1.5%と置くと、将来キャッシュフローの現在割引価値は72ドル程度になりますので、現在の株価は、概ね-1.5%程度のマイナス成長率を織り込んでいることになります。

つまり、今後のアッヴィのFCFPS成長率が-1.5%よりも高いと思うのであれば、現在のアッヴィの株価は割安だということです。

現在の株価で購入した場合の、期待リターンも計算しておきましょう。先ほどと同じく、FCFPSを8.30ドル、FCFPS成長率を横ばい(0%)と置きます。

期待リターン

= FCFPS / 株価 + FCFPS成長率
= 8.30ドル / 71.25ドル + 0%
= 11.6%

S&P500に投資した場合の平均リターンが年率7%程度であることを考えると、年率11.6%のリターンは魅力的です。

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配当に基づくバリュエーション

続いて、配当に基づくバリュエーションを行なってみたいと思います。

アッヴィの年間配当は、2018年に3.95ドルでした。

今後、もしもこの1株あたり配当が横ばいであると仮定すると、将来に渡る配当の現在割引価値は以下のように計算することができます。

将来配当の現在割引価値

= 1株あたり配当 /(割引率 – 増配率)
= 3.95ドル /(10% – 0%)
= 39.50ドル

これは現在のアッヴィの株価と比べると、かなり低い数値となっています。

それでは、現在のアッヴィの株価はどのくらいの増配率を織り込んでいるのでしょうか?

先ほどの式の増配率に適当な数値を当てはめると、4.5%程度の増配率を織り込んでいる計算になります。

今後、配当が年率4.5%程度で増加していくと思える場合は、現在のアッヴィの株価は妥当である、それよりも増配率が高いと思える場合は、現在のアッヴィの株価は割安であると判断することができそうです。

期待リターンも計算しておきましょう。増配率は安全に見積もって0%(横ばい)としておきます。

期待リターン

= 1株あたり配当 / 株価 + 増配率
= 3.95ドル / 71.25ドル + 0%
= 5.5%

これはS&P500に投資した場合の平均リターンである7%を下回っている計算になります。

バリュエーションのまとめ

フリーキャッシュフローモデルで計算した期待リターンは11.6%程度でした。

配当モデルで計算した期待リターンは5.5%でした。

よって、現在の株価でアッヴィに投資した場合の期待リターンは、おおよそ年率5.5%〜11.6%程度の間に収まることが予想されます。

アッヴィは、ヒュミラの一本足打法から脱却できるかどうかによって業績が大きく変わりうるので、期待リターンのブレも大きく、また見通しも不透明な部分が大きい銘柄です。

少なくともフリーキャッシュフローベースで、現在の数値をキープできると思えるかどうかが、投資判断の境目となるでしょう。

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