P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)の株価は割安ではない。今後の成長率はウォッチが必要。

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キャプテン資本主義

どうも、キャプテンです!

投資好きな20代サラリーマン。

インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。

ざっくりいうと

キャプテン
  • P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は、世界的な消費者向けブランドを保有している。アリエールやパンテーン、パンパース、ジレットなどのブランドだ。
  • P&Gは経営の効率化が進んでおり、営業キャッシュフロー率は22%程度担っている。平時には、毎年$11B程度のフリーキャッシュフローを生み出しているぞ
  • 現在の株価で購入した場合、期待リターンは年率6.7%〜11%程度と見込まれる。(FCFPSから計算した期待リターンは年率6.7%〜11%、配当から計算した期待リターンは年率8.6%)
  • P&Gの株価は概ねフェアバリュー〜やや割高だと言えるだろう。また、P&Gがアナリストの予想する7%程度のフリーキャッシュフロー成長を実現できるかは、ウォッチが必要だ。

P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)とは

P&Gは、各種生活消費財ブランドを保有している会社です。

有名なブランドで言えば、アリエール、レノア、ジョイ、ファブリーズ、パンテーン、SK-Ⅱ、パンパース、ジレットなどがあります。

P&Gの事業セグメント

2018年のアニュアルレポートより

事業セグメントによる切り分けが左端の円グラフです。

美容ブランドが売上の19%、髭剃り等の身だしなみブランドが売上の10%、ヘルスケア・ブランドが売上の12%、ホームケアが32%、おむつ等のブランドが27%となっています。

せっかくなので、地域別でも見ておきましょう。

北米が最大で44%、続いてヨーロッパが24%、アジア太平洋が9%、中国が9%、南米が7%、そしてその他の地域が7%となっています。

先進国と発展途上国で分類すると、先進国が売上の65%、発展途上国が売上の35%です。

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P&Gの業績

売上と営業キャッシュフロー

まずは、P&Gの売上と営業キャッシュフローを確認しましょう。

P&Gの売上と営業キャッシュフロー

P&Gの売上は2012年以降、下落トレンドにあります。

一方で、営業キャッシュフローは横ばいで推移しており、営業キャッシュフロー率は22.2%まで増加しています。

これはP&Gの経営効率が改善してきたことを示しています。

P&Gは、2013年からCEOに復帰したアラン・ラフリーのもとで事業再編を開始。同社が保有するブランドの6割を売却などを通じてリストラしました。

キャッシュフローの推移

続いて、キャッシュフローの状況を確認したいと思います。

P&Gのキャッシュフロー推移

P&Gは毎年$14B前後の営業キャッシュフローを稼ぎ出しており、先ほど述べたとおり、売上を低下させてきた2012年以降も営業キャッシュフローは安定的に推移しています。

また、設備投資は$4B以内に収まっており、平時には毎年$11B程度のフリーキャッシュフローを生み出せる体質となっています。

この$11BがM&Aや株主還元の原資となるわけです。

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P&Gの株価は割安?

続いて、P&Gの株価は割高なのか割安なのかを見ていきたいと思います。

P&Gの株価

P&Gの株価

P&Gの株価は、年初来で+22%程度の上昇を見せており、110ドル程度となっています。

フリーキャッシュフローに基づくバリュエーション

以下は、P&Gの1株あたり業績の推移です。

P&Gの1株あたり業績

2018年の1株あたりFCFPSは4.41ドルです。

また、FCFPSは平均すると過去10年間、年率+2.7%程度で成長しています。

割引率を10%として、将来フリーキャッシュフローの現在割引価値を計算してみましょう。

将来フリーキャッシュフローの現在割引価値

= FCFPS / (割引率 – FCFPS成長率)
= 4.41ドル / (10% – 2.7%)
= 60.4ドル

現在の株価が110ドル程度であることを考えると、過去10年間のFCFPS成長率に基づいて計算すると、P&Gの株価は割高な状態にあるように思われます。

一方で、アナリスト予想によると、FCFPSではありませんが、EPSは今後10年間で年率+7.06%程度で成長し続けることが予想されています。

そこで、FCFPS成長率を7%とすると、バリュエーションは以下のようになります。

将来フリーキャッシュフローの現在割引価値

= FCFPS / (割引率 – FCFPS成長率)
= 4.41ドル / (10% – 7%)
= 143ドル

もしも、P&GのFCFPSが今後、年率+7%程度で成長するのであれば、現在の株価110ドルは23%程度の割安であるということになります。

さて、過去10年間のFCFPSが横ばい気味であることを考えると、今後の成長率が年率+7%になるというのは、そこそこ強気の予想である気がします。

FCFPS成長率をどのように考えるかによって、P&Gの現在の株価に対する評価が変わってきます。

期待リターンも計算しておきましょう。

期待リターン

= FCFPS / 株価 + FCFPS成長率
= 4.41ドル / 110.01ドル + FCFPS成長率
= 4% + FCFPS成長率

FCFPS成長率が+2.7%であれば期待リターンは6.7%、FCFPS成長率が7%であれば期待リターンは11%となります。間をとって、FCFPS成長率が5%程度とすると、期待リターンは9%程度となります。

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配当に基づくバリュエーション

続いて、配当に基づくバリュエーションを見てみたいと思います。

P&Gの株主還元状況

2018年の配当は2.79ドルであり、配当の成長率は年率+6.1%程度です。

配当性向は60%〜70%程度で推移していますが、自社株買いをあわせると、直近の株主還元性向は100%を超えています。そのため、DPS成長率が今後も+6.1%で推移するかは分かりませんが、配当を2.79ドル、DPS成長率を+6.1%とすると、将来配当の現在割引価値は、以下のようになります。

配当の現在割引価値

= DPS / (割引率 – DPS成長率)
= 2.79ドル / (10% – 6.1%)
= 71.5ドル

現在の株価が110.01ドルは割高ということになります。

さて、現在の株価で購入した場合の期待リターンも計算しておきましょう。

期待リターン

= DPS / 株価 + DPS成長率
= 2.79ドル / 110.01ドル + DPS成長率
= 2.5% + 6.1%
= 8.6%

バリュエーションのまとめ

フリーキャッシュフローに基づいて計算した場合の期待リターンは6.7%〜11%、配当に基づいて計算した場合の期待リターンは8.6%となりました。

S&P500にインデックス投資した場合の長期リターンが7%程度であることを考えると、現在の株価は概ねフェアプライスであると考えることが出来ますが、アナリスト予想による今後の成長率が、過去10年の成長率と比べて強気であることを考慮すると、ややリスクがあるようにも思われます。

6.7%のリターンでも十分な数値ではあるので、P&G株は購入の検討に値すると思いますが、割安水準ではないため、他の投資対象を探してみるのも良いのではないでしょうか。

 

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