高配当株ベライゾン(VZ)の株価は割安ではない。価格競争による業績悪化は底打ち反転。

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キャプテン資本主義

どうも、キャプテンです!

投資好きな20代サラリーマン。

インデックス投資と米国株で1700万円ほど運用しています。

ざっくりいうと

キャプテン
  • アメリカの大手通信会社であるベライゾンは、2016年以降、価格競争の激化に苦しんできたが、2018年には売上が反転。キャッシュフローも改善しているぞ。
  • 現在の株価で購入した場合、期待リターンは年率7%弱と見込まれる。(FCFPSから計算した期待リターンは年率6.8%、配当から計算した期待リターンは年率6.9%)
  • S&P500に投資した場合のリターンが7%程度であることを考えると、高配当株の安心感が欲しいという投資家以外には、あまり魅力のない水準だと言えるだろう。

ベライゾンとは

売上の7割がワイヤレス通信事業

ベライゾンは、アメリカの通信会社(日本でいうところのドコモやKDDI、ソフトバンクのような会社)です。

2018年のアニュアルレポートから、簡単にセグメント別の売上を見ておきましょう。

2018年の売上のうち、69.3%が携帯電話などのワイヤレス通信事業、22.5%が有線通信事業、8.2%が企業向けやその他の事業という内訳になっています。

ベライゾンの売上内訳

全体の7割程度をワイヤレス通信事業が占めており、これが現在のベライゾンの主力事業であることが分かります。

ワイヤレス通信事業の契約数

ワイヤレス通信の契約数は、以下のスライドの右上にグラフが載っています。

前年の1.16億から、2018年4Qには1.18億程度まで、順調に増加しています。

後払い(ポストペイド)と先払い(プリペイド)では、圧倒的に後払い(ポストペイド)が多いことが分かります。これは日本と同じですね。

5Gに力を入れるベライゾン

Verizon 5G Home

直近の取り組みとして、ベライゾンは、5G通信を業界を牽引する形で準備してきました

2018年10月には家庭向けのアメリカ初となる5Gプラン「5G Home」を提供開始。2019年には、シカゴなど一部の街において、携帯通信の5Gプランを提供し始めています。

米通信キャリアのVerizonが、10月1日から家庭向け5Gネットワークサービス「5G Home」の提供を開始すると発表しました。米国内の5G商用サービスとしては初となります。

米Verizon、米国内初の5Gサービス「5G Home」発表。10月1日から提供開始

ベライゾンは、率先して5Gプランを市場に投入することで、新しいものに敏感な層を囲い込もうとしているのです。

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ベライゾンの業績と株価

続いて、ベライゾンの業績を確認しておきましょう。

2016年から価格競争に苦しんだベライゾン

ベライゾン(VZ)の売上と営業キャッシュフロー

過去10年で見ると、売上は基本的に右肩上がりですが、2016年と2017年は売上が落ち込んでいます。

これはTモバイルやソフトバンク傘下のスプリントなどが容量無制限プランを発表するなど、実質的な値下げを仕掛けたことを受けて、ベライゾンも対抗して値下げを行い、顧客あたりの売上が落ち込んだこと等が影響しています。

米携帯電話サービス大手ベライゾン・コミュニケーションズは、廉価、低画質で無制限の携帯デバイス用データプランを導入し、TモバイルUSなどのライバルに挑戦する。その一方で、高画質を求める顧客向けプランは値上げする。

  同社は23日から、人気の高かった月額80ドルの無制限プランを廃止。代わりに、ハイデフィニション(HD)レベルの高画質での無制限プランを月額85ドルで、DVDレベルの画質での無制限プランを月額75ドルで提供すると発表した。Tモバイルは、通常画質での無制限プランを月額70ドル、HDでの無制限プランを80ドルとしており、ベライゾンはその契約者の取り込みを狙っている。

ベライゾン:廉価の無制限プラン発表、Tモバイルに挑戦

そのため、営業キャッシュフロー率が20%を割り込んでいましたが、2018年には26.2%まで回復させています。

一方で、2018年の売上増はワイヤレス事業における会計基準の変更による部分も大きく、ワイヤレス事業のサービス収益は引き続き減少しているため、今後も注視が必要です。

フリーキャッシュフローも回復傾向

ベライゾンのフリーキャッシュフロー

2016年、2017年と営業キャッシュフローの落ち込みによって、フリーキャッシュフロー(ざっくり)も減少していましたが、2018年には$17B程度まで戻しています。

平時のフリーキャッシュフローは$17B程度となっています。

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ベライゾンの株価は割安?

最後にバリュエーションを見ておきましょう。

2019年6月12日現在、ベライゾンの株価は57.36ドルで取引されています。

FCFPSによるバリュエーション

ベライゾンの1株あたり数値

2018年のFCFPSは3.94ドルでした。

そうすると、株価57.36ドルというのは、割引率を10%と置くと、年率3%強のFCFPS成長を織り込んでいることになります。

計算式

$57.36 ≒ $3.94 / (10% – 3.1%)

もしくは、FCFPSが基本的に無成長であると仮定した場合には、今後の平均的なFCFPSが$5.74程度に収束することが期待されていると考えることもできます。(ちなみに、過去10年のFCFPSの平均値は$4.10です。)

計算式

$57.36 ≒ $5.74 / 10%

さて、現在の株価で購入した場合の期待リターンも計算しておきましょう。

FCFPSの成長率は控えめに無成長(0%)とします。

期待リターン(年率)

= FCFPS / 株価 + FCFPS成長率
= $3.94 / $57.36 + 0%
= 6.8%

S&P500に投資をすると、平均的に年7%程度のリターンが得られることを考えると、現在のベライゾンの株価は特に魅力を感じる水準ではありません。

配当によるバリュエーション

続いて、配当でもバリュエーションをしておきましょう。

ベライゾンの株主還元状況

2018年の1株あたり配当は$2.39でした。

また、ベライゾンは過去10年の間、平均して年2.7%程度の増配を行ってきました。

2016年と2017年は配当性向が100%を超えていましたが、これは価格競争の激化による一時的なものだと考えると、その他の年には配当性向が100%以内に収まっており、現状程度の増配率は今後も維持することが出来ると想定しても良いでしょう。

その場合、割引率を10%と置くと、将来配当の現在割引価値は以下のように計算できます。

将来配当の現在割引価値

= 現在の配当 / (10% – 増配率)
= $2.39 / (10% – 2.7%)
= $32.73

現在の$57.36は高めであると計算できます。

また、配当からみた期待リターンも計算しておきましょう。

期待リターン

= 現在の配当 / 株価 + 増配率
= $2.39 / $57.36 + 2.7%
= 4.2% + 2.7%
= 6.9%

期待リターンは年率6.9%程度であると計算できました。

FCFPSで計算した場合も6.8%という数値だったので、おおよそ年率7%弱のリターンになるであろうことが想定されます。

バリュエーションのまとめ

FCFPSが今後、年率3%程度で成長しない場合は、現在のベライゾンの株価は割高であると考えられます。

また、現在の株価で購入した場合の期待リターンは、FCFPSによる計算・配当による計算、いずれにおいても年率7%弱程度となりました。

これは、S&P500への投資が年率7%程度のリターンになることを考慮すると、個別株のリスクを取っているわりには、そこまで魅力的なリターンではありません。

以上から、現在のベライゾンは、特段割安感はなく、むしろやや割高感があると考えられるでしょう。

S&P500と同等あるいは多少パフォーマンスが劣っても、高配当株の安心感が欲しいという方は、投資を検討しても良いのではないでしょうか。

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