オピオイド訴訟を抱える高配当株ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の株価は割安?

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ざっくりいうと

キャプテン
  • オピオイド訴訟によって、ジョンソン・エンド・ジョンソンは$0.5B〜$1.5B程度の制裁金を支払うことが見込まれているぞ。
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンは、毎年$18B以上のフリーキャッシュフローを生み出す優良企業だ。
  • 現在の株価で購入した場合、期待リターンは年率9%前後と見込まれる。(FCFPSから計算した期待リターンは年率9.16%、配当から計算した期待リターンは年率8.84%)
  • 超お買い得!と言える水準ではないが、最近のジョンソン・エンド・ジョンソンの株価でいうと比較的割安の水準にあるぞ。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)とは

ジョンソン・エンド・ジョンソンは世界的なヘルスケア企業

ジョンソン・エンド・ジョンソンは世界的なヘルスケア企業であり、主に3つの事業セグメントを保有しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの事業セグメント

  1. 消費者向け製品
  2. 医療機器
  3. 医薬品

また、2019年4月時点の世界時価総額ランキングでは10位となっており、アメリカを代表する企業です。

そんなジョンソン・エンド・ジョンソンは、現在「オピオイド訴訟」を起こされており、それを嫌気して株価が下落しています。

その内容を詳しく見ていきましょう。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の抱えるオピオイド訴訟って何?

アメリカのオピオイド危機

アメリカ合衆国のオピオイド危機

さて、そもそもオピオイド訴訟の前に「オピオイドって何?」というところを整理しておきましょう。

オピオイドというのは、鎮痛剤のことです。鎮痛剤というと、ヘロインやモルヒネが有名ですが、その類のものになります。(ヘロイン自体もオピオイドの一種です)

ただ、オピオイドの特徴は、それが合法的に医療機関から処方されるという点にあります。その結果として、現在アメリカ合衆国においては、オピオイドが蔓延しており、オピオイド中毒者が後を絶たない状況になっています。

また、年間4万人を超えるアメリカ人がオピオイドの過剰摂取(オーバードーズ)によって亡くなっています

このオピオイドですが、元々は1990年代の半ばにオキシコドンというオピオイドが「中毒性の低い鎮痛剤」として売り出されたことに端を発しています。

オキシコドンは、パデュー・ファーマ社という製薬会社が革新的な薬として積極的にマーケティングを行いましたが、この「中毒性が低い」という結論が、たった38人のサンプルを元に結論づけられていたことが判明しています。

オピオイドの処方は1990年代から2010年代にかけて6倍以上にも膨れ上がっており、この市場に営利企業であるジョンソン・エンド・ジョンソンも目をつけて参入していたわけです

現在、アメリカではトランプ大統領が「オピオイド危機」を宣言して、社会問題化しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンにも制裁金の可能性

以上のようなオピオイド危機を招いた元凶として、ジョンソン・エンド・ジョンソンはオクラホマ州から訴訟を起こされています

以下、ブルームバーグの記事から引用します。

オピオイド系鎮痛剤を巡る訴訟ではテバファーマスーティカル・インダストリーズが26日、8500万ドル(約93億円)を支払うことで同州と和解したと発表。パーデュー・ファーマも3月に2億7000万ドルを支払って訴訟を決着させているが、J&Jは今のところ法廷で争う姿勢だ。

ブルームバーグ・インテリジェンスの法律担当アナリスト、ホリー・フルーム氏は、オピオイド訴訟のほかベビーパウダー使用によるがん発症を巡る裁判を含む推定1万4000件の訴訟で同社は多額の支払いを迫られるリスクがあるとリポートで指摘。訴訟決着のための支払いは最終的に50億-150億ドルに達すると見込んでいる。

米J&J株急落、訴訟リスクが再び重しに-オクラホマ州と法廷闘争

以上のように、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、最終的には$0.5B〜$1.5Bの制裁金を支払うことになるのではと見込まれています。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の業績と株価

ジョンソン・エンド・ジョンソンの株価は下落中

さて、上に書いたようなオピオイド訴訟を抱えるジョンソン・エンド・ジョンソンは、巨額の制裁金を支払うことになる可能性が嫌気されて、株価が急落しています。

JNJの年初来株価チャート(Google Financeより)

5月上旬には140ドルを超えていたジョンソン・エンド・ジョンソンの株価は、5月31日現在131.15ドル。今年の高値からは8%程度の下落となっています

ジョンソン・エンド・ジョンソンの業績はピカピカ

一方で、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、非常に業績が素晴らしい企業でもあります

まず、以下のグラフの通り、売上と営業キャッシュフローは右肩上がりであり、営業キャッシュフロー率は常に20%以上をキープしています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの売上と営業キャッシュフローの推移

また、CAPEX(設備投資費用)は、$20Bを超える営業キャッシュフローに対して、$4B程度に抑えられており、平時は毎年$18Bという巨額のフリーキャッシュフローを生み出していることが分かります

キャッシュフローの推移

特段の事情がなければ、この巨額のフリーキャッシュフローが毎年、自社株買いや配当の支払いを通じて、株主に還元されることになります。

また、今回懸念されている$0.5B〜$1.5Bの制裁金というのも、ジョンソン・エンド・ジョンソンのキャッシュフローを考えると、決して支払いに窮するような金額ではないことが分かります。

ですから、もしも今回のオピオイド訴訟を嫌気した株価下落によって、ジョンソン・エンド・ジョンソンの株価が割安になっているのであれば、購入を検討する余地があるということです。

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は割安?

それでは、現在の株価131.15ドルは、割安だと考えられるのでしょうか?

1株あたりフリーキャッシュフローと配当の観点から、ジョンソン・エンド・ジョンソンの割高・割安を考えてみたいと思います。

1株あたりフリーキャッシュフローからバリュエーションした場合

まずは、分かりやすいように1株あたりの数値に直してみました。

JNJの1株あたりの数値

過去10年(2009年〜2018年)のFCFPS成長率は単純平均で年率+3.9%程度でした。また、2018年の1株あたりフリーキャッシュフロー(FCFPS)は6.90ドルです。

割引率を10%と置いた上で、以上の数値を用いてDCF法に基づいて計算すると、ジョンソン・エンド・ジョンソンの生み出す将来FCFPSの現在割引価値は以下のように計算することができます。

将来FCFPSの現在割引価値

= FCFPS /(10% – FCFPS成長率)
= $6.90 / (10% – 3.9%)
= $113.11

113.11ドルと計算されました。

そうすると、現在の株価である131.15ドルの成長というのは、まだ少し割高であると考えることができます。

補足説明

ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のように業績が安定して素晴らしい企業は、リスクが少ないため、どうしても株価は割高になることが多いです。

また、現在の低金利の環境下において、割引率10%というのは、かなり保守的な数値なので、割高になるのは仕方ない部分もあります。

ちなみに、現在の株価で購入した場合の期待リターン(年率)も計算しておきましょう。

期待リターン(年率)
= FCFPS / 株価 + FCFPS成長率
= $6.90 / $131.15 + 3.9%
= 9.16%

あくまでも過去10年の数値を用いた計算ですが、期待リターンが年率9.16%は、決して悪い数値ではありません。

※なお、DCF法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

DCF法で企業価値を計算する方法および計算式

2019.03.21

配当からバリュエーションした場合

続いて、1株あたりの配当から考えてみます。

JNJの自社株買いと配当

ジョンソン・エンド・ジョンソンは過去56年に渡って、増配(株主に支払う配当を引き上げること)を続けている、人気の連続増配銘柄です。

直近の配当性向は52%であり、現在程度の配当支払いは問題なく続けられると見て良いでしょう。また、自社株買いと配当を合わせた総還元性向も80%〜90%程度の年が多いことから、増配や自社株買いのペースも無理がない範囲で行われていることが分かります。

以上から、過去10年の1株あたり増配率をそのまま、配当成長率(予想)として用いることとします。過去10年(2009年〜2018年)の増配率は年率6.1%です。

そうすると、将来配当の現在割引価値は、以下のように計算することができます。

将来配当の現在割引価値

= 現在の配当 /(10% – 配当成長率)
= $3.60 /(10% – 6.1%)
= $92.30

こちらはFCFPSで計算した数値よりも低く出てしまいました。

期待リターンに方も計算しておきます。

期待リターン(年率)
= 配当 / 株価 + 配当成長率
= $3.60 / $131.15 + 6.1%
= 8.84%

配当から計算した期待リターンは年率+8.84%となりました。

バリュエーションのまとめ

FCFPSから計算した理論株価は113.11ドル、配当から計算した理論株価は92.30ドルでした。

FCFPSから計算した期待リターンは年率9.16%、配当から計算した期待リターンは年率8.84%。いずれも年率9%前後でした。

そうすると、現在のジョンソン・エンド・ジョンソン株価というのは、確かに下落はしているものの「超お買い得のチャンス!」というレベルではないようです

一方で、上でも書いたようにジョンソン・エンド・ジョンソンのような優良企業は、超お買い得!と言えるほどの割安になることは少なく、最近でいうと比較的割安の水準であることは確かです。

特にジョンソン・エンド・ジョンソンを買うことに拘りがない方は見送って、ジョンソン・エンド・ジョンソンが買いたい!という方は検討に値するような株価水準なのかなと思います。

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