株のPER(株価収益率)とは?目安の考え方。

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ざっくりいうと

キャプテン
  • 株のPER(株価収益率)とは、株価をEPS(1株あたり利益)で割った数値だ。株価が1株あたり利益の何倍で取引されているかを示しているんだ。
  • EPSの推移が安定している企業ほどPERで割安・割高を判断しやすいぞ。一方で、EPSの推移が不安定な企業では、PERが機能しにくいので、注意が必要だ。
  • PERを割安・割高の目安として活用する場合には、同じような財務体質の企業(利益率が近い、売上高の安定度が近いなど)同士で比べたり、同じ企業の過去のPERと比べたりすると、割安・割高の判断がしやすいぞ。

株のPER(株価収益率)とは?

PERとは何かを理解しよう

株のPERとは、株の割高・割安を考えるための、1つの指標です。

具体的には、その企業の株価が、1株あたり利益の何倍の値段かということを表しています。

PERの決算式

PER = 株価 ÷ EPS(1株あたり利益)

実際にPERを計算してみよう

それでは、実際にトヨタ自動車のPERを考えてみましょう。

トヨタ自動車のPERを計算してみよう(2019年3月14日時点)

  • 株価は6,585円
  • 過去12ヶ月の1株あたり利益は652.3円

先ほどの計算式を用いて、PERを計算してみてください。

果たして、トヨタ自動車のPERはいくらになるでしょうか?

以下が答えです。

トヨタ自動車のPER

PER = 6,585円(株価) ÷ 652.3円(1株あたり利益) = 10.03倍

念のため、Bloombergのウェブサイトで確認しておきましょう。

Bloombergのウェブサイトより

株価が6,585.00円(左列2段目)、EPSが652円(右列3段目)、PERが10.03倍(中央列3段目)となっているのが確認できました。

これでPERの計算はバッチリですね!

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PER(株価収益率)は、どのようなときに使える?

さて、企業の株価が割安なのか、割高なのかを考える際に用いられるPERですが、いつでも使えるという訳ではありません。

PERは、どのようなときに使える指標なのかを考えてみましょう。

その企業の業績は安定しているか?

まずは、その企業の業績が安定しているかどうかを考えなければいけません。

EPSが安定しているケース

たとえば、以下のテーブルのように株価、EPS(1株あたり利益)、PERが推移している企業があるとしましょう。

時期株価EPS(1株あたり利益)PER
2015年末2,100円
100円21.0倍
2016年末2,300円110円20.9倍
2017年末1,500円90円16.7倍
2018年末1,800円105円17.1倍
2019年末2,100円100円21.0倍

EPSとPERの推移をグラフにすると、以下のようになります。

EPSとPERの推移

このようにEPSが比較的安定して推移している場合には、過去のPERと比較することで、現在が割安なのか割高なのかを判断しやすいです。

2017年はEPSが90円まで減ってしまっていますが、株価が1,500円まで下がっているためPERも17倍弱と低くなっています。この企業の株を買うのであれば、比較的割安に買うことができたと言えるでしょう。

実際に割安で買えているのか、過去5年の平均EPSを用いて、PERを計算してみましょう。

時期株価5年間の平均EPSPER
2015年末2,100円101円20.8倍
2016年末2,300円101円22.8倍
2017年末1,500円101円14.9倍
2018年末1,800円101円17.8倍
2019年末2,100円101円20.8倍

こちらのテーブルからは、平均EPSが101円程度である企業の株をPER14.9倍で買ったということが分かります。これは5年間で実際に最も割安です。

つまり、PERという指標が正常に機能しているということです。

EPSが不安定なケース

続いて、EPSが不安定なケースを見てみましょう。

時期株価EPS(1株あたり利益)PER
2015年末2,100円100円21.0倍
2016年末2,300円200円11.5倍
2017年末1,500円30円50.0倍
2018年末1,800円90円20.0倍
2019年末2,100円180円11.7倍

同様にEPSとPERをグラフにすると、以下のようになります。

さて、グラフを見ながら考えていただきたいのですが、今回もPERが低いところが割安でしょうか?

EPSとPERの推移

PERが一番割安なのは2016年末の11.5倍ですね。このときの株価は先ほどのテーブルを見ると2,300円です。逆に一番PERが高いのは2017年末の50.0倍です。株価は1,500円です。

果たして、どちらで買うのが割安だったのでしょうか。

さて、過去5年間の平均EPSは600円であることを考えると、以下のように整理できます。

時期株価5年間の平均EPSPER
2015年末2,100円120円17.5倍
2016年末2,300円120円19.2倍
2017年末1,500円120円12.5倍
2018年末1,800円120円15.0倍
2019年末2,100円120円17.5倍

2016年末に買った場合は、平均EPSが120円程度の企業の株をPER19.2倍で買ったということになります。これは5年間で一番割高な水準です。

続いて、2017年に買っていた場合は、平均EPSが120円程度の企業の株をPER12.5倍で買ったということになります。これは5年間で一番割安な水準です。

つまり、一番割安なはずの2016年末に買うと、長期的に見たときには一番割高であり、一番割高なはずの2017年末に買うと、長期的に見たときには一番割安であったということになります。

このようにEPSの推移が不安定な企業に対しては、PERはあまり機能しないと考えてください。

同様に、普段はEPSが安定している企業でも、一時的に業績が乱れているときには、PERが変な値になりやすいため、注意してください。

その企業が先行投資フェーズではないか?

もうひとつ注意すべき点は、その企業が先行投資フェーズではないかということです。

以下のような場合を考えて見てください。

とある企業Aの業績

企業Aは、売上が100億円だとしましょう。

発行済株式数は1億株、時価総額は1,000億円です。

さらに、普通に経営すれば40億円の利益が残るけれども、売上の成長を加速させるために、この40億円のうち30億円を広告費に費やしていたとしましょう。つまり、利益は10億円です。

さて、以上のような場合、EPSは利益10億円 ÷ 1億株 = 10円となります。また、株価は、1,000億円 ÷ 1億株 = 1,000円であるため、PERは100倍となります。

PER100倍という数字だけ見ると、随分と割高な感じがします。

しかし、思い出して見てください。この企業は30億円を広告費に先行投資したために利益が10億円となりましたが、普通にしていれば40億円の利益を稼ぐビジネスをしているわけです。

利益が40億円であれば、EPSは40円、PERは25倍となり、随分と見え方が変わってきます。

このように、成長のために先行投資をしている段階の企業は、単純にPERを見てしまうと、本来のポテンシャルと大きくかけ離れた数字を見て投資判断をしてしまうことになります。

このような場合にも、あまりEPSの利用は適切ではないと言えます。

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株のPERの目安は?

さて、ここまで読んでいただいた方の多くは「で、結局PERが何倍程度だと安いの?」と思われるかもしれません。

以下、PERと目安についての考え方を書きたいと思います。

△インデックス指数のPERを目安にする

ざっくりとした感覚を持つためにはインデックス指数のPERを見るという手があります。

たとえば日経平均のPERは、現在、大体12.5倍で推移しています。

つまり、PERが12.5倍よりも高い場合には、他の多くの銘柄と比べて、やや高めに評価されているということになります。

ただし、これはあまりにもざっくりなため、そこまで参考にはなりません。

△同業他社のPERを目安にする

似たような考え方から、同じ業界の企業同士のPERを比べて、割安・割高を見る人もいます。

しかし、筆者は、異なる企業のPERを比較して、どちらの企業が割高だ、どちらの企業が割安だと考えるのはオススメしません。

なぜなら、PERが高い企業は、それなりの理由がある優良企業であり、PERが低い企業はそれなりの理由がある財務体質の悪い企業であることが多いからです。

そのため、あくまでも目安としての活用に止めるのが賢明です。

◎同じような財務体質の企業でPERを比較する

そこで、キャプテンがオススメするPERの考え方のひとつは、似たような財務体質の企業でPERを比較するという考え方です。

たとえば「利益率が10%程度であり、毎年売上高が5%程度ずつ成長している企業」のPERを比べるというような考え方です。

このように企業の経営状況や財務体質が似たものを比べると、割高・割安の目安としては機能しやすくなります。

◎同一銘柄のPERを過去のPERと比較する

もうひとつは、上でも行ったように、過去のPERの推移を見て、割安・割高を判断するという考え方です。

EPSが比較的安定して推移している企業であれば、過去のPERと比べることで割安・割高を判断できるというのは、上でも書いたとおりです。

PERを上手に活用してバリュー投資を行おう!

以上、PERについて説明してきました。

PERは、いつでも使える万能な指標ではありませんが、時と場合を考えて、適切に使うことができれば、割安の株を買うチャンスを見つけることに繋がります。

一度で理解できなかったとしても、たびたび読み返すことでPERというものをしっかりと理解して、ぜひバリュー投資に役立ててみてください。

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